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ランドセルは海を越えて アフガニスタンの子どもたちに届けたい

 4月から中学生になった私は、6年間使っていたランドセルをアフガニスタンに送ることにした。このランドセルは、私が小学校に入学したときに、東日本大震災の支援物資としていただいたもの。たくさんのひとの思いやりの気持ちがこめられていた。だから今度は、海を越えて外国の子どもたちの役に立つというのはとてもすばらしいことだと思う。このプロジェクトを行っている株式会社クラレを取材した。
 株式会社クラレは、1964年に「クラリーノ」という人工皮革を開発し、現在、ランドセルの7割はこの「クラリーノ」を使用している。本革に比べて軽い上に、丈夫で長持ちするのが特徴だ。
 同社は、社会貢献活動のひとつとして、1995年の阪神淡路大震災の時に、被災した子どもたちにランドセルを贈ったことがきっかけで、養護施設等にランドセルを贈り続けている。それを受け取った子どもたちが、「自分たちが使ったランドセルを、海外で困っている子どもたちにあげたい」と言ったことがきっかけで、海外に届ける取り組みを考え始めた。これが「ランドセルは海を越えて」プロジェクトになっていく。
 最初は、いろいろな国に送ってみたという。アフリカのタンザニアや東南アジアの国々に送ってみたが、文化の違いや社会情勢などで予想以上に難しかった。イラクに送ろうしたところ、紛争で難しくなったこともあった。試行錯誤の結果、NGOやボランティアの人々の力を借りて、アフガニスタンに届けることが決まった。


私が6年間使用したランドセルがアフガニスタンの誰かに届く

 配布の方法も難しかった。不公平が生まれないように全校生徒に配れるところを探してもらわなければならない。また、イスラム教では豚革を使うことは禁止されているので、一部にでも豚革を使用したランドセルは、イスラム教のアフガニスタンに送ることができない。豚革が使用されていないことをしっかり確認したランドセルには、未使用の文具を入れることもできる。子どもたちに、特に喜ばれているものはクレヨンだそう。アフガニスタンでは今も戦争をしているため、手に入らないからだ。
 アフガニスタンの教育の現状はよいとはいえない。半分の人は学校に行けない。女性の7割、男性の5割は読み書きができない。また、学校の数も少なく、1~2時間歩いて通学することもある。
 「ランドセルは海を越えて」プロジェクトでは、18年間で14万個以上のランドセルを日本から送り続けた。この間、アフガニスタンでは就学率が上がったそうだ。ランドセルを受け取った子どもたちの親が、子どもたちを学校に行かせようという気持ちになれたからかもしれない。
 今年、アメリカ軍がアフガニスタンからの撤退を始めたことで一気に治安が悪化した。ランドセルが無事に届くかどうかもますます心配だ。また、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、現地でランドセルを配るボランティアがうまく集められないことも大変だそう。
 プロジェクトの立ち上げから携わってきた山本恵一さんは、「日本の子どもたちには、ぜひこの活動を通して世界を知ってほしいと思います。今、私たちが暮らしている日本では想像もできない大変な生活をしている子どもたちがいます。ランドセルを贈るという形で、自分にもできる社会貢献をたくさんしてほしいです」と話していた。

取材・文
  阿部 明香里
(古川学園中学校1年生)