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時を超えて 小泉八雲がつなぐ松江と石巻~縁に結ばれる未来~

小泉セツ ラフカディオ・ハーンの妻として生きて 第2期(開催中2026年9月6日(日)まで 小泉八雲記念館 松江市奥谷町322)

2023年11月、みちのく八雲会の主催で小泉 凡さんの講演が石巻で行われ取材をさせていただいた。小泉 凡さんは、日本に古くから伝わる怪談話を世界に紹介した小泉八雲の曾孫にあたる。取材後、「いつか島根で取材ができるといいですね」と言ってくれた。現在放送中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」では、八雲の妻・小泉セツが主人公のモデルになっていることもあり、私たちはその機会を心から願っていた。念願叶って、2025年8月、島根へ取材に行くことができた。


小泉八雲記念館は、1934年に開館した。小泉凡さんが館長だ。常設展示では、八雲の人生について知り、八雲が書いた怪談の朗読を聞くことができる。現在、「小泉セツ~ラフカディオ・ハーンの妻として生きて~」の第二期も開催中だ(2026年9月6日まで)。
「小泉セツ」展を企画した小泉八雲記念館の小泉祥子さんは、2024年は小泉八雲が亡くなって、また、「怪談」が出版されて120年の記念の年だったので、特別な企画をと考えた。それなら、小泉八雲の最高のアシスタントでもあった妻、セツしかいない、と思ったそうだ。「セツさんを紹介することにより、その向こうにいる小泉八雲が見えてくるのではないかと思いました」と話す。

小泉八雲記念館
学芸企画ディレクター
小泉 祥子さん

通常、企画展は2年程度前から準備を始める。準備を進めている最中で、NHKの発表の3日ぐらい前にドラマ「ばけばけ」(小泉セツが主人公「松野トキ」のモデル)のことを知り、とても驚いたそうだ。ドラマはあくまでフィクションだが、それを楽しみつつ、小泉八雲のことについて、小泉セツのことについて、深く知ってもらうきっかけになればうれしいと言う。「小泉セツは普通の主婦でした。ただ、日本が変わる激動の時期にいた人でした。西洋人と結婚し、たくましく、生き生きと生きていきます。そして、現代の私たちが必要としている考え方、生き方を知る、朝から元気がもらえるドラマになるのかなと想像しています」と小泉祥子さん。「ばけばけ」は一見変わったタイトルのようだが、江戸から明治に時代がばけていく、時代に翻弄されながら、セツ自身も人生の節目を乗り越えてばけていく、そして、八雲とふたりでおばけの物語をつくったなど、いろんなものがばけていくという意味が込められている、と教えてくれた。
(このインタビューは2025年8月13日に行われました)

小泉八雲旧居は記念館とともに松江の歴史的街並みのひとつになっている

小泉八雲

小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーンは、1850年、ギリシャ西部のイオニア海の島、レフカダで生まれた。八雲には幽霊の幻視体験などが頻繁に起こり、その経験は『怪談』執筆に生かされている。八雲は2才のころ、顔のない「のっぺらぼうの女性」ジェーンに出会ったと言い、この体験はのちに、八雲が「むじな」の再話をする際に役立ったそうだ。八雲は16才の時に左目を失明した。右目を酷使し続けたことにより、眼鏡に眼球が当たるほど右目が飛び出てしまったそうだ。執筆する際に字が見えやすいように、机を高くした。その机と顔の距離は約6cmとかなり近い。八雲が使っていた机は、現在、小泉八雲記念館に展示されている。

小泉八雲旧居に展示中の レプリカ

小泉セツ ~世界一のママさん~

小泉セツが、八雲とコミュニケーションをとる時に使っていた「へるん言葉」とは、彼が話す独特な日本語のこと。また、セツは八雲が話す英語を丁寧にメモに残し、英語を覚えようとしていた。例えば、“cotton”(綿)は「カタン」、“meat”(肉)は「ミイタ」のように、聞こえた音に意味を添えて書き残していた。さてそれでは、「ユー・アーラ・デー・スエテーシタ・レトル・オメン・エン・デー・ホーラ・ワーラダ」とは?八雲が「You are the sweetest little woman in the whole world」と言ったと思われるが、単語帳には日本語の意味が書かれていない。「世界一のママさん」と言いたかったのだろう。

セツの英単語帳(小泉八雲記念館蔵)

西田千太郎を知っていますか?

西田千太郎(1862-1897)は八雲の大親友。英語が堪能で、八雲とセツの通訳もしていた。「松江聖人」と呼ばれるほど松江の人々から信頼が厚く尊敬されていた西田のおかげで、八雲は日本になじむことができた。
松江市内の住宅街に、西田千太郎が住んでいた「西田旧居」がある。八雲はこの家に何度も訪れたそうだ。家の中には西田家の暮らしぶりを伝える膨大な資料が残され、西田と八雲の友情を示す手紙や贈り物も見つかった。西田旧居が歩んできた歴史を後世に語り継ぐため、島根大学法文学部准教授の宮澤 文雄さんらが「一般社団法人まちなかプラン」を立ち上げ、修復活動を開始。現在、クラウドファンディングで修繕資金を集めている。松江の貴重な歴史を残すためにも、たくさんの協力をお願いしたい。(一般社団法人まちなかプラン)

西田千太郎(1862-1897)
NHKドラマ「ばけばけ」では吉沢 亮さんが演じる「錦織友一」として登場している
(写真提供:西田家)
西田旧居 松江市新雑賀町

せんたろうのうえん

宮澤 文雄先生

宮澤さんとともに西田旧居の保存と修復に取り組んでいる新雑賀町町内会長の今岡 克己さんは、敷地内に農園「せんたろうのうえん」をオープンした。

近所の保育園の子どもたちのために育てたさつまいもを、みんなで食べたりしている。今岡さんは「地域の人たちが年中集える場所にしたいです。西田家の人たちは庭で野菜作りをしていたので、どのように生活していたのかも再現していきたいです。松江の歴史を西田家の窓を通して見ていってほしい」と話していた。

せんたろうのうえんと今岡さん

笑顔になる朝食
~松江エクセルホテル東急の藤本 美保さんに聞きました~

「あの時、松江で食べたあれ、また食べたいな」と思ってもらえるように、思いを込めて朝ごはんマップを作ったそうだ。シェフやスタッフ、関係者におすすめの食材やメニューを聞き、みんなの声が反映されている。「びっくりするような組み合わせもありました。食べ方に正解はないですね。食べたいように食べてほしいです」と話してくれた。藤本さんのおすすめは、ホテル自慢のあなごのフライ、特製プリンやクロワッサン、グリーンスムージー。月に一回ほど予約制のスイーツフェアもやっているそうだ。本当に笑顔になれるので、松江に行ったらぜひ足を運んでほしい。

松江エクセルホテル東急の朝ごはんマップ

出雲大社

旧暦10月には、全国の神々が集まり、人々のご縁について会議すると言われており、縁結びの神社として有名だ。他の地域ではこの時期は「神無月」と言うが、出雲では「神在月」と呼ぶ。
出雲大社の境内には、小さいうさぎの像が複数箇所に設置されている。うさぎたちは鈴を首につけていたり、お祈りをしていたりとさまざま。これは出雲大社の祭神である大国主大神がうさぎを助けたという「因幡の白兎」の話にちなんでいる。

出雲大社神楽殿の大しめ縄

雄大な自然もアートの一部に

足立美術館は、松江市の隣り安来市にある。1970年に地元出身の実業家・足立全康が開設した美術館だ。約4万3000平方メートルの美しい日本庭園で知られている。館内には、庭園を見ながらひとやすみできる喫茶室もある。島根県立美術館(松江市)は1999年に開館した山陰最大級の美術館だ。隣接する公園では、宍道湖の夕日を見ることができる。3月から9月の間は、美術館の閉館時間を日没30分後まで延長している。

足立美術館庭園
宍道湖に沈む夕日(島根県立美術館にて)

謝辞
この取材は株式会社システィーナのご協賛により実現しました。心よりお礼を申し上げます。

【取材・文・写真】千葉 美琴(石巻好文館高校1年生)、村松 玲里(石巻高校2年生)

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