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にっこりサンパークの3日間 2011年3月11日から13日まで

「にっこりサンパーク」がある北上町は町の7割が山林。北上川の河口にあり自然が豊かだ。

 東日本大震災が発生してから3日間、私の父は、職場近くのにっこりサンパーク(石巻市北上町)に避難していた。いったいどんな様子だったのか、職員の佐々木忠弘さんに取材した。
 「にっこりサンパーク」の名前には、「笑顔」の「にっこり」と、「新古里(新しい古里(※1))」という2つの意味が込められている。北上川を見下ろす小高い山の上にある総合運動公園だ。多目的グラウンドでは、運動競技やイベントなどを行っている。中体連、高体連など、シーズンに入るとテニスの大会が毎週のように行われている。
 震災が起きた時、佐々木さんは事務所にいた。パソコンをおさえてゆれがおさまるのを待った。その日は利用者が少なかったのだが、遊び場などにいた人たちに駐車場に集まるよう指示をした。建物の中は危ないかもしれないと思ったからだ。そして、車で避難した人がグラウンドに入れるように誘導した。
 にっこりサンパークには30人ぐらい、すぐそばにある北上中学校の体育館には200人ぐらいの人たちが避難してきた。その日、家に帰ることができた人は一人もいなかった。津波がやってきたからだ。夜になると真っ暗になった。家族が見つからないので探しに行こうとする人たちを佐々木さんは必死で止めた。それは、とてもつらかったそうだ。
 にっこりサンパークにも北上中学校にも食料は置いていなかった。夜中の2時頃、追分温泉(※2)のみなさんがおにぎりを北上中学校まで届けてくれた。「小さなおにぎりでしたが、一つのおにぎりをふたりで分けあって食べました」。次の日からは、少し大きめのおにぎりをひとり一つずつもらえるようになった。避難所として一番大変だったことは、「トイレです。北上中学校のプールの水をくんで使いました。水がないので、お風呂に入れません。すると、自衛隊のみなさんが追分温泉まで送り迎えをしてくれました」。
 あれから4年。佐々木さんは普段は漁師だ。1月〜2月はワカメ、4月から8月まではウニ、11月から2月まではアワビ、その他、ホヤ、ホタテ、コンブなど、1年を通してたくさんの仕事がある。朝早いのでつらいと思う時もあるが、あわびの開口(天然アワビ漁解禁日、11月ごろ)の朝だけはとても楽しみなのだそう。「少しずつ、みなさんに笑顔がもどってきています」。
と佐々木さんはにっこり笑顔で話してくれた。