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日本一の水族館を目指して

水槽のガラス掃除も田中さんの仕事

 2015年7月1日にオープンした仙台うみの杜水族館は大人気。飼育員で獣医師の田中悠介さんにお話を伺った。
 うみの杜水族館にいる生き物の多くは、もともと松島水族館にいた。松島水族館が閉館し、仙台に引っ越してきたのだ。引っ越しには1カ月以上かかった。特に大変だったのは、ペンギンの引っ越し。ペンギンは、すばしっこく、暴れるため、スタッフみんな傷だらけになったそうだ。
 松島水族館が閉館すると聞いたとき、田中さんは、5年間仕事した場所だったから、とても残念だった。でも、新しい水族館ができることに期待が膨らんだ。「うみの杜水族館オープンに向けて準備をしている間、早くみなさんに会いたい、見てもらいたいと思っていました」。 無事にオープンしたときは、やっぱりうれしかった。1日の来場者数は、約7000人。松島水族館のファンだった地元の人、うみの杜水族館のオープンを楽しみにしていた県内外のお客さんであふれていた。岩手県盛岡市から来ていた家族は、「いろいろな魚を見ることができて楽しいです。特にイルカがすごかったです」と話していた。
 うみの杜水族館には、さまざまな展示やパフォーマンスがあるが、田中さんのおすすめは「海獣ひろば」。「かいじゅう」と聞くと、怪獣を思い浮かべる人が多いと思うが、この「かいじゅう」は「海の獣」と書く。海に住んでる獣、つまり哺乳動物を意味する。哺乳動物とは、イルカ、ホッキョクグマ、シャチ、セイウチ、トド、オタリアなどを指すが、うみの杜水族館ではペンギンも展示されている。それらの生き物を身近に見たり感じたりできる場所が海獣ひろばだ。
 また、うみの杜水族館の人気ものは、イロワケイルカ、マンボウ、チンアナゴ。新しく来たバンドウイルカも大人気だそうだ。お客さんには、水族館に来て、まず楽しんでもらいたい、と田中さん。ただ楽しむだけじゃなく、感じて帰ってもらいたい。そして、生き物の魅力を伝えたい。どういうところに住んでいるかなど、多くのことを知ってもらい、人と生き物を身近に感じてほしい。水族館で海の中のしくみを知ってほしいそうだ。うみの杜水族館には、三陸の海をそのまま再現したコーナーがあり、実際に海に来たような気分になれるよう工夫されている。
 田中さんが今までで、一番大変だったことは、浜辺に打ち上げられた野生のオットセイやイルカ、クジラなどを助けに行ったこと。水族館には、「生き物が倒れているから、助けに行ってあげて下さい」という連絡がくるそうだ。海岸で治療して海に返せる生き物もいるが、1度水族館に連れ帰って治療する生き物もいる。1~2カ月かかる場合もある。
 田中さんの目標は、「うみの杜水族館を日本一の水族館にすること、そして、日本一の獣医になることです。病気の治し方が分からない生き物もいっぱいいるから、獣医同士のコミュニケーションも大切です」。多くの生き物を救っていきたい、と田中さんは目を輝かせた。