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石巻を応援する3人に伺いました 乙武洋匡さん 前を向いて進もう!

右から酒井圭佑記者、乙武洋匡さん、酒井理子記者

 2013年6月10日、講演のために東松島市を訪れた作家の乙武洋匡さんを取材した。

 乙武さんが初めて被災地を訪れたのは2011年5月上旬。テレビやインターネットで見た映像は現実感がなく、まるで映画のように思えたが、車いすで実際にがれきの中を歩いてみると、メガネの破片や上ばきのかたっぽなどを発見し、「ここに生活があったんだ」ということを感じた。3年間小学校の先生をしていた乙武さんは大川小学校も訪れた。子どもや先生たちが楽しい学校生活を送っていたことが思い浮かんで、それを津波が一瞬で奪ってしまったことを想像して、胸が苦しかった。
 「僕は手と足がないという体で生まれました。普通に考えたら、大変だ、かわいそうだということかもしれないけれど、まわりの人たちのおかげで、こういう体に生まれてよかったと思っています。石巻の子どもたちが大人になった時、あの震災があったから今の自分がある、と前向きに受け止められるようになってほしいです。また、子どもたちがそう思えるように、大人が働きかけをしていかなければならないと強く思います。震災があったからこんなことができない、無理だ、と思わずに、やりたいことがあれば全力で取り組んでください」。
 勉強するのはどうしてか聞いてみた。「将来、自分がどのような職業に就きたいか、どのような仕事で社会とかかわっていきたいのか決まらない時に、夢を実現できる自分になるための準備、それが勉強だと思います」。
 また、大人になるまでに自分の気持ちをしっかりと伝える力を身につけておいた方がいいと思う、と教えてくれた。今、悲しいのか、うれしいのか、怒っているのか、喜んでいるのか、相手に伝えられることが大事だし、言われたことだけをするのではなくて、自発的に自分からこんなことをやってみたいと思う気持ちを身につけられるといいそうだ。
 休日には落語を聞きに行ったり、2人の息子さんと遊んだりしている乙武さん。前を向いて生きる力でいっぱいだ。

取材・文:酒井 理子(門脇小学校5年生)