記事詳細

バレエが石中にやってきた!石巻の子どもたちに すばらしい芸術体験を

松山バレエ団のみなさん

 2014年3月15日、東日本大震災当時避難所として使われていた石巻中学校の体育館で、松山バレエ団が「白鳥の湖」を上演した。同バレエ団理事長・団長でプリマバレリーナの森下洋子さんに、この公演にこめた想いを取材した。

 森下さんは広島出身。祖母と母が被爆した。子どものころ、とても体が弱かったので、医師からなにか運動をしてみてはどうかとすすめられた。たまたま家の前の幼稚園でバレエ教室が始まり、それがきっかけでバレエを始めた。「今思うと、バレエの神様がバレエをやりなさいと言ってくれたように思います。今はとても健康です」。始めた時は3歳だったが、気持ちの中に「これをずっと続けていきたい」という想いがぐっと入ってきた。それは60年以上たった今でも全く変わらない。
 森下さんは1日5―6時間練習している。毎日バレエをすることがあたりまえなのだそうだ。バレエは積み重ねることによってできるようになるものなので、続けるために、体を整えるようふだんの生活ではいろいろなことに気をつけている。たとえば、雨の日に階段などですべって捻挫しないように、風邪を引いて熱などださないように、などだ。
 毎日、仲間といっしょに思いを共有し、いっしょに作品を作っていることは生きがいでもあり、感謝している。大変だと思うことはたくさんあるが、つらいと思うことはない。「こんなに好きなことをこんなに長くやっていることは奇跡だと思います。それをできる場所や仲間、たくさんの人の支えがあることが幸せです」。
 森下さんを引きつけるバレエの魅力は、人々に夢や希望、ロマンや勇気を与えられる舞台芸術のひとつであること。今回の石巻での公演では、自分たちが踊ることをとおして、悲しみや苦しみがあっても前を向いていっしょにがんばっていこうという想いを伝えたいと思った。これから石巻が復興していくうえで、子どもたちはみんな心を1つに、お互いをいたわり合い、感謝し、手を取り合いながら、石巻をすばらしいところにしてほしいと思う、と語る。
 森下さんにとってバレエとは何だろう。「生きていること、呼吸をしていること」と即座に答えが返ってきた。確かに、この公演は石巻の子どもたちに新しい石巻を造りあげるエネルギーをプレゼントしてくれた。