石巻日日こども新聞は、石巻日日新聞社の輪転機で印刷されて、たくさんの人に届けられる。ところで、印刷ってなんだろう?印刷博物館(東京都文京区)を取材した。
印刷は7世紀ごろ、東アジア(現在の中国)で始まったと言われている。印刷とは、版にインキをつけて、そのインキを紙につけかえること。15世紀、ドイツのヨハネス・グーテンベルグが、機械で印刷する「活版印刷」を発明した。印刷を必要としていたのは、キリスト教や仏教の教えを広める人たち。昔、聖書の教えをたくさんの人に伝えるためには、人が手で書き写していた。「楽に聖書を書き写す方法がないか?」と考えたことが印刷機発明のアイデアになったとも言われる。グーテンベルグの活版印刷により、聖書や※免罪符の印刷が広まった。グーテンベルグは、活版印刷術を発明したが、技術を公表しなかった。意味のない本が大量に印刷できるようになると困ると思ったからだ。
それより昔は、版画のように、木版に文字や絵を彫り、版に水を塗り、紙を版に直接のせて印刷していた。日本には、7世紀、中国からこの木版印刷が伝わり、浮世絵などが木版印刷され広まった。近代的な活版印刷が始まったのは明治時代になってからだ。
印刷にはいろいろな種類がある。木版印刷や活版印刷の他に、銅板印刷、平版印刷、シルクスクリーン印刷など。家庭用のプリンターはデジタル印刷と呼ばれる。文字や絵を1ミリ×1ミリに細かく切って、「白」と「黒」にし、電気信号に変えてプリンターに送り、プリンターは信号の通りにインキを出したり出さなかったりして印刷するのだ。液晶画面やコンピューターのデジタル回路も印刷の技術を使って作られている。布のようなものに印刷するときは、アイロンの熱で絵柄をプリントする方法がある。布用のインキは洗濯しても落ちにくいようにできている。
印刷は、形があるものにならなににでもできる。缶のように丸いものに印刷するには、平らな金属板に印刷してから缶の形にする場合と、インキを吹きかけて印刷する場合がある。インキを吹きかける技術は、でこぼこしたもの、平でないものに印刷をするときに役に立つ。バスのように大きいものに印刷をするときは、大きなシールにインキを吹きかける技術を使って印刷する。
カラー印刷は、黄・赤・青・黒の4色の点でできている。点の大きさや重ね方でたくさんの種類の色を表現する。お札を印刷するためには、9つの技術が使われている。とても小さな文字、ホログラム、発光インキなど、にせ札が作られないように難しくしているのだ。切手も印刷でできている。間違えてさかさまに印刷された切手が、めずらしいので高く売れたことがあるそうだ。
※免罪符:罪に対する罰を逃れるための証明書
【取材・文】小俣渓志郎(大曲小学校3年生)・小俣翔太郎(大曲小学校6年生)・菅原彩乃(赤井小学校6年生)・菅原いろは(赤井小学校6年生)・西宏夢(釜小学校3年生)・山口葵(山下小学校5年生)
【協力】凸版印刷株式会社労働組合