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トミギ畑でつかまえて

アメリカのグリネル大学に戻る許可が降りた。新型コロナの感染状況が悪化しているため迷ったが、私は10カ月ぶりに戻ってきた。授業はまだオンラインだが、図書館や実験室など一部の設備が開き始めている。

小さい頃からさまざまな国のたくさんの場所に住んできた。自分の居場所、すなわち「home」と思える場所が、生まれ故郷の石巻しかなかった私にとって、今やグリネルはもう一つの「home」だ。公共交通機関もデパートもない小さい街だが大好きな場所だ。

グリネルは住みやすいところだが、冬はとても寒くなる。10月末から3月までは、雪がキャンパスを覆い、学生たちは頭から爪先まで防寒している。寒い時はマイナス20度前後まで下がり、部屋に閉じこもる学生たちもいれば、外で元気に雪遊びをする1年生もいる。2年前には、体感温度がマイナス45度まで下がって危険なため休校になったこともあった。外出時はマスクをするので、顔は温かいが、吐いた息で前髪やまつげが凍る。しかし、こんな環境だからこそ屋内で過ごす時間が長くなり、勉強に集中できたり、友達との仲を深めたりできる。

グリネルの寒さは数字だけ見れば耐え難いが、私にとっては美しい景色はもちろん、大学生活を送るのに最適な「home」だ。

福島文遥

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