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トミギ畑でつかまえて ~Catcher in the Tomigi~

私は19年前石巻で生まれ、3歳までを過ごした。父の仕事の関係で、ウズベキスタン、ハンガリー、イギリス、ブラジルで暮らし、去年の8月、アメリカのアイオワ州にあるグリネル大学に進学した。9月から私は2年生になる。
石巻は私にとって「帰ってくる場所」。時々、夢を見る。内海橋の向こうに見える牧山、北上川沿いに自転車を走らせている自分…。よく考えてみると、石巻の夢を見ているのではなく、夢の舞台が石巻なのだ。私にとって石巻の景色は、記憶の原風景なのだと思う。
今住んでいるアイオワ州はアメリカの中西部に位置し、グリネル市の人口は約9千人。そのうち、1700人はグリネル大学の学生だ。グリネル市は大学、ダウンタウン、そして住宅地で構成されている。ダウンタウンの建物はレンガで作られており、ティッシュボックスみたいに低く長い。街全体がレトロな雰囲気を醸し出している。グリネル市の周りは広大なトウモロコシ畑が広がっている。デモインやアイオワシティーという大きな街に出るには車で1時間かかる。
タイトルの「トミギ」は宮城弁で「トウモロコシ」のこと。サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」に因んでつけた。延々と続くトミギ畑に囲まれたグリネルで感じたことを日本の読者に向けて書いていきたい。

福島 文遥

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