テイラー・アンダーソン記念基金は、2011年東日本大震災で亡くなったALT※のテイラー・アンダーソンさん(享年24歳)の意志を継いで、子どもたちの活動を支援している。石巻市内13カ所に、子どもたちのための「テイラー文庫」を創設しただけでなく、本に関心を深めるための活動支援もしている。今回、石巻市立稲井小学校5年生64人が「ビブリオバトル」に挑戦した。
※ALT:アシスタント・ランゲージ・ティーチャー、外国語指導助手
稲井小5年生が初挑戦!
「ビブリオバトル」とは本を紹介するコミュニケーションゲームのことである。「人を通して本を知る。本を通して人を知る」のキャッチーコピーのもとに、最近、全国的に人気が高まっている。
やり方はこうだ。参加者一人1冊おもしろいと思う本を持ってくる。そして、その本についての紹介を行う。公式ルールでは5分だが、今回は3分で行った。本の紹介のあと、その発表に関するディスカッションを2〜3分行う。すべての発表が終了したあと、「どの本が1番読みたくなったか」を基準に、一人1票で投票を行い、最多票を集めた人が勝者となり、紹介した本が「チャンプ本」となる。
今回は、ビブリオバトルを知らない児童が多かった。そこで、本を紹介しやすいように、開始前、発表に必要な内容を紙にまとめ、覚えるという準備を行った。また、よりスムーズに進むように、いくつかのグループに分かれ、石巻専修大学の学生5人が司会役として子どもたちを手伝った。
参加した遠藤海槙くんは、「ビブリオバトルと聞いた時は、自分の好きな本や友達が持ってきた本を紹介するだけだと思っていました。説明を聞いて始めて勝負すると分かりました。好きな場面を紹介するところが1番楽しかったです」と話していた。子どもたちは本の楽しさを真剣に考え、紹介したい場面を一生懸命に伝えていた。読書にコミュニケーションがあることで、子どもたちが本の楽しさを共有し夢中になって、積極的に本を読むようになるだろう。
▲ビブリオバトルのデモンストレーション
【取材・文】熊谷 拓哉(石巻専修大学2年生)