石油がなくなると聞いたら…!?
エネルギーについて考えよう
朝、学校に行くとき、遠くの山の方に「なにか」がくるくる回っているのが見えるようになった。「今日も回ってるなぁ。止まっているのもあるなぁ」と毎日気になっているうちに、それが何で、どんな仕組みで動いているのか、どうして山の上にあるのかなど、どんどん疑問が出てきた。そこで、株式会社ユーラス石巻風力を取材した。
その「なにか」の名前は「風車」。3枚の「ブレード」と呼ばれる大きな羽根がくるくる回っていたのだ。遠くから見ると小さいけれど、実際にその下まで行ってみたらとても大きな機械だ。羽根の部分を除いても高さは80㍍もある。すごい迫力だ。羽根が回るたびに大きな風の音がする。
風車は電気を作っている風力発電の機械だった。石巻市の上品山から籠峰山にかけて6基、デンマーク製の機械で、2019年12月に完成した。所長の奥山寛さんは「石巻は風の環境がいいからつくったのですよ」と話す。同社は、北海道稚内市の宗谷岬から、南は鹿児島まで、日本全国で風力発電を行っている。
石巻の風力発電は1日に最大出力20・4MWまで発電できる。わかりやすく教えてもらうと、これは、一般住宅約6800世帯が使用する量だ。石巻の世帯数は約6万2千世帯なので、全体の11%くらいをまかなうことができる。すでに、この風車の電気は、東北電力を通して石巻の家庭で使われている。
今、電気は主に石油から作られる。でも、石油には限りがあって、あと50年分ぐらいしかないと言われている。「再生可能エネルギー」と呼ばれる新しい発電方法が出てきたが、まだ日本全体の発電量の17%でしかない。その中で風力発電は0・7%と1%にも満たない。ちなみに、その中で、ダムなどの水力発電は8%、最近よく見かける太陽光発電は6%だそうだ。
世界を見てみると、再生可能エネルギー発電が一番多い国はデンマークで、全体の発電量の42%、次はアイルランドで26%。再生可能エネルギーの中の風力発電は割合は50%、太陽光発電は14%、バイオマス25%だそうだ。日本の風力発電はまだまだ可能性がありそうだ。「風は無尽蔵です」と奥山さんは言う。だから、使わないのはもったいない。
風力発電が期待されるのは、石油の代わりになるからだけではない。燃料を燃やす発電は、二酸化炭素がでるから、地球温暖化の原因になるけれど、風力発電などの再生可能エネルギーや原子力発電は二酸化炭素が出ない発電方法だ。ただ、原子力発電は、東日本大震災で起きた福島第一原子力発電所のような事故があったときの危険が心配されているし、発電後に残った原子力のゴミ(廃棄物)の処理にも問題がある。それに比べると、再生可能エネルギーは安全だ。
ただ、時々止まっている風車もみかける。風車と呼ばれるぐらいだから、風が吹いていないと発電できないという弱点もある。
でも、もう石油だけに頼るわけにはいかない。風力発電や太陽光発電を利用すれば、その分の石油を節約できる。石油が本当になくなってしまうまでにあまり時間はないけれど、そのほかにも方法がないかどうかこれからも考えなければならない。
▲羽根を除いた機械の高さは80メートル。想像していたよりずっと大きかった
【取材・文】
今野 ひなた(蛇田小学校5年生)
松川 美桜(二俣小学校4年生)
【写真】
村松 鈴音(立教大学1年生)