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交流あった2人の芸術家 家族が語る思い

それぞれのお父さんについて語る小室穰嗣さん(右)と高橋幸子さん(2019年10月に撮影)
それぞれのお父さんについて語る小室穰嗣さん(右)と高橋幸子さん(2019年10月に撮影)

高橋英吉は、海の三部作の2作目「潮音」が文展で特選になった時、同じ宮城県出身であり、仙台市のシンボルの伊達政宗公騎馬像を制作した小室達のアトリエにあいさつに行った。達はその時のことを日記にしるしている。
交流があった2人の芸術家だが、子どもたちは、父親や石巻についてどのように思っているのだろうか。高橋英吉の娘の高橋幸子さんと、小室達の息子の小室穰嗣さんに手紙でインタビューした。

仙石線に懐かしさ

英吉も達も、たくさんのすばらしい作品を残している。家族から見て、どんな作品が好きだろうか。
幸子さんは母子像を挙げた。理由は「これを作った時、私はまだ生まれてなかったけれど、母と私を彫ってくれたんだと思います」と話す。
穰嗣さんは「舞」という女性の像が「バレエの一場面のようで大好き」という。また、穰嗣さんがモデルの首の像、甲冑堂の木彫りの像、犬の首の像などたくさん挙げた。そして「もちろん伊達政宗像が好きです」とも教えてくれた。
版画家でもある幸子さんは、年賀状教室の講師として10年間、暮れになると石巻文化センターに通った。
「仙石線に乗って景色を見ながら、父さんもこの風景を見ていたと思うと、懐かしい喜びにつながりました」と振り返り、「当時の石巻の方々とは今も親せきのようなお付き合いをしています。石巻は私のふるさとです」という。
穰嗣さんは、お父さんが亡くなった後、お母さんと一緒に親せきの小室眼科(当時立町にあった)に1週間近く滞在した。「鉄道マニアでとくに電車が好きなので、仙石線に乗れて楽しかった」。十代後半のことで、「今思うと漁港にも行きたかった」と思い出を語った。
また「石巻という地名がしゃれていて好き」だそうだ。

取材・文
木村和寛
日下瑠香
(湊小学校6年生)

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