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教えてください! 石巻のカキのこと

おいしさのひみつ
東日本大震災の大きな被害を乗り越えて

石巻のカキは生産量が国内第2位。石巻の自慢・カキのことをもっと知るために、宮城県漁業協同組合石巻市東部支所鹿立かき共同処理場の石森裕治さんにお話を聞いた。

宮城のカキは生で食べられる。「この時期、石巻のカキは脂がのっていてとてもおいしいんですよ」と石森さん。「この中にカキが苦手な人はいますか?帰るまでに全員カキが好きになりますよ!」と自信満々。おいしさの秘密はズバリ、海。宮城の海はきれいだ。
石巻市鹿立地区は10年前の東日本大震災で大変な被害を受けた。「大きな地震が起きたので、津波が来ると考えました。そして、みんな船に乗って沖に逃げました。でも、残念なことに、5分逃げ遅れて船ごと流されてしまった人もいたんです」と石森さんは当時を思い出す。
カキは津波ですべてなくなってしまった、と思ったそうだ。でも、フランスが資材などを支援してくれた。昔、フランスでカキが取れなくなった時に、石巻のカキの種をフランスに送ったことがあり、その恩返しとして助けてくれたのだ。「もうカキはつくれないと思っていましたが、がんばってここまでできるようになりました」。石森さんはとてもうれしそうだ。

石森裕治さんとむきたてのカキ
石森裕治さんとむきたてのカキ

カキむきは手作業。大勢の人が並んで一斉に行う。カキむきの方法は聞けば簡単そうだが、実際にやってみるととても難しい。まず、平らな方を上にして、貝柱のあるところにナイフを入れる。ゆっくり慎重に、あせらずやるのがポイントだ。「カキむき用のナイフは100円ショップで手に入るもので大丈夫です」と石森さんは言うけれど、練習が必要だ。
カキは10月から5月にとれ、12月から2月においしいそうだ。おいしい食べ方について聞いてみた。「ふっくらしているところが一番おいしいですね」と石森さん。生ガキはみそ汁にいれるといいそうだ。「ちょっとね、10個ぐらいかな。みそ汁に入れて、2〜3分煮込むとだしが出ておいしいです」。おやおや、「10個」はちょっとじゃないような気がするけれど、カキがたくさんとれる鹿立地区では普通のことだそう。産地ならではの食べ方だ。
新鮮なカキはむしガキにしてもとてもおいしい。この日、生まれてはじめてカキを食べた人に聞いてみると、「とてもおいしかったです。特に、むしガキが好きです」と言っていた。
カキはホタテやはまぐりのように2枚貝だが、表面がでこぼこしていて変わった形だ。「カキがどうやってからをつくるか知っていますか?」と石森さんが参加者に質問したけれど、誰も知らない。「身のふちの部分の黒いところで石灰をつくって、ぬりかべみたいにからを大きくしていきます。だから、からの先のほうが薄くなっているでしょう?」
鹿立地区では、40年ぐらい前から、ホタテのからにカキの種をつける養殖しているそうだ。理由は、ホタテは表面が平たいのでくっつく面積が大きいから。しっかりくっつくので波でゆれても落ちにくい。鹿立地区のカキは2年もの。2年の間に、からには海の生き物がたくさんくっついてしまう。2年経つと海から上げられ、カキむき場に水揚げされる。その後、水槽で丸1日浄化してから、むかれて、流しそうめんのような機械で洗われて出荷される。
カキにオスとメスはあるのだろうか?質問し忘れたので、調べてみて驚いた。なんとカキは全部オスでメスなのだ!冬の間はオス、夏になるとメスになって産卵するのだとか。カキはおいしいだけでなくおもしろい生き物だ。

流しそうめんのような機械でカキを洗う
流しそうめんのような機械でカキを洗う

取材・文
相澤 有恵(住吉小学校4年生)
阿部 壮汰(渡波小学校3年生)
境 晃徳(山下小学校1年生)

写真:石巻日日新聞社提供

この取材は、「2021家族で社会科見学!さがそう地域の魅力」(石巻日日新聞社主催、東北電力株式会社宮城支店協賛)で行われました。

 

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