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東日本大震災から10年                               新しい海のまち!こども記者が行く ~牡鹿編~

未来のために今を知る
地域の伝統産業

 

2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、今年で10年。新しいまちづくりが進む一方で、まだまだ課題も多く残っている。大きな被害を受けた後、再建された雄勝硯伝統産業会館(雄勝町)、おしかホエールランド(鮎川浜)のほか、女川原子力発電所PRセンター(女川町)(2面に掲載)を取材した。

 

捕鯨のまち 鮎川浜 おしかホエールランド

 

鮎川浜(宮城県石巻市)では古くから捕鯨が行われていたが、1988年、商業捕鯨が終了した。「おしかホエールランド」は捕鯨の歴史を伝える施設として残されたが、2011年、東日本大震災の津波で建物が壊滅し、昨年7月、新たな場所で再開した。

新しい「おしかホエールランド」は、入った瞬間、木のいい香りがする。天井が高く、頭上に大きなマッコウクジラの骨格標本を見ることができ、牡鹿地区と捕鯨の歴史を伝える資料や道具などが数多く展示されている。学芸員の山本龍治さんは、「わかりやすく、おもしろく伝えることを目標としています」と話す。

クジラは2種類に分けられ、ハクジラとひげクジラがある。マッコウクジラはハクジラの仲間だ。ハクジラには歯が生えているが、ひげクジラには歯がなく、フィルターの役目を果たすヒゲのようなものがある。ひげクジラの口にある「クジラひげ」は何枚もの板が重なっており、外側はツルツル、内側はもじゃもじゃでおもしろい。ほかにもハクジラは指の骨の数が5本、ヒゲクジラは4本などの違いがある。

クジラの年齢は歯をたてに真っ二つに切ることでわかる。その歯の中には年輪のようなものがあるそうだ。おしかホエールランドに展示されているマッコウクジラの骨格標本は、小笠原諸島から運ばれてきたもので、マッコウクジラの中でもかなり大きく16㍍もある。年齢は約45歳。ちなみに、展示されている小クジラは0歳だそう。

ハクジラは頭の奥で音を出すことができ、その音で仲間とコミュニケーション(会話)をしたり、物に当たって返ってくる音で、どこになにがあるのかを認識したりするそうだ。マッコウクジラの好物はダイオウイカ、ダイオウオホズキイカで、マッコウクジラは音を獲物に当てて、獲物を気絶させてから食べるそうだ。クジラが体を大きくしたのは、寒い海の中でも体温を保つためではないかと言われている。

実は、クジラとイルカは生物学的には同じ生き物という。見分けかたは、大人になったとき、4㍍以上がクジラで、4㍍未満がイルカと分けられる。

マッコウクジラの脳は7〜8㌔㌘ある。でも、頭のような部分には筋肉も脳もなく、「脳油」が入っている。脳油は冷たくなると固く重くなる性質があり、その性質を使ってマッコウクジラは深海に潜っていると考えられている。

一昨年、商業捕鯨が再開し、石巻地域でも再びクジラの肉が手に入るようになった。ひげクジラはさしみにして食べるとおいしいし、ハクジラは加熱するとおいしくなるそうだ。「ホエールタウンおしか」では、地域の食文化を紹介するイベントも行われ、長い間クジラとともに生きてきた鮎川浜の人々のくらしを知ることができる。

 

 

おしかホエールランド
住所 石巻市鮎川浜南43-1
電話 ☎0225-24-6644
営業時間 9:00~16:00
休館 施設、テナントごとに異なる

取材・文
高橋 瞭輔
(蛇田小学校5年生)
平塚 蓮琳
(向陽小学校5年生)

 

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