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東日本大震災から10年                         こども記者が行く!新しい海のまち ~雄勝編~

硯のまち 雄勝町

 

雄勝硯伝統産業会館

 

硯の石として有名な「雄勝石」産地の雄勝町。東日本大震災で全壊した雄勝硯伝統産業会館は、場所を移して2019年11月にオープンした。

石巻市雄勝町では、真っ黒で板状に加工しやすい「雄勝石」がとれる。雄勝石は古い地層から取れ、安定していて丈夫なだけでなく、意匠性がある。室町時代からすでに硯に加工されていたと記録に残っている。伊達政宗の時代には盃にも使われた。政宗は持ち運びに便利な小型の硯を持ち歩いていたそうだ。長い間、硯の需要に支えられていたが、時代とともに硯が使われなくなったため、工夫が必要になった。昭和40〜60年代は、職人も砕石量も最盛期で、ビリヤード台の下地などにも使われた。現在は、皿や箸置きなどの工芸品にも加工される。2015年にイタリアのミラノで開催された食の万博では、雄勝石の皿が使われ注目を集めた。雄勝石は冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいまま保つ性質があるので料理がおいしいそうだ。

ほかにも、東京駅の屋根材や住宅の外壁などにも使われている。雄勝町の復興住宅の外壁にも使われた。「雄勝石はまだまだたくさん取れています」と話してくれたのは徳水辰博さん。雄勝出身で硯作りの修行を始めて、今年で7年になる。一人前と認めてもらえるまでに10年は修行が必要と言われるそうだ。石を削る時には、上半身の力を押し付けて力を加減するのがコツだと教えてくれた。ベテランの職人は、叩いた音で石の中に傷があるかがわかり、作品にあう品質の石を選ぶことができる。人手が少なくなり、数は少なくなったが、今でも宮城を代表する雄勝硯を生産している。雄勝硯伝統産業会館には、日本一の硯が展示されていて、重さは500㌕、長さは156・5㌢もある。

東日本大震災のあと、約4、000人のボランティアが雄勝町に来て、津波に流されずに残った硯やスレートを、がれきや泥の中からかき集め、4カ月かけて水洗いしてくれた。この時発見された外壁用のスレートが、雄勝海産物直売所の外壁にも使用されている。

 


▲硯にはたくさんの種類が!地域によって形や素材に特徴がある

 


▲徳水さんの職人技。仕事を見て学ぶ

 

 

硯上の里おがつ
住所 石巻市雄勝町下雄勝二丁目5
電話 ☎0225-57-3339
営業時間 9:00~17:00
休館 施設、テナントごとに異なる

 

 

取材・文
阿部 壮汰
(渡波小学校2年生)
小俣 渓志郎
(矢本第二中学校1年生)

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