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東日本大震災から10年                          こども記者が行く!新しい海のまち ~女川編~

エネルギー問題について知る

 

女川原子力PRセンター

 

宮城に電気を供給している東北電力には、女川原子力発電所がある。東日本大震災の後、停止しているが、昨年11月、県知事は再稼働の前提となる地元同意を表明した。東日本大震災では、東京電力福島第一原子力発電所事故があり、原子力発電については反対もある。そこで、原子力発電について正しく知るための情報提供を行っている女川原子力PRセンターで取材した。

東北電力女川原子力発電所は敷地の広さが173万平方㍍あり、東京ドーム約37個分、ディズニーランド約3個分の大きさだ。そこに、1号機、2号機、3号機の3つの原子力発電施設がある。1号機は1984年6月に発電を開始し、2018年12月に運転を終了。廃炉に向けて作業を進めている。2号機は1995年7月に発電開始、現在再稼働の準備中。3号機は2002年1月に発電開始、今後再稼働に向けて手続きを進める予定だ。

2・3号機が発電すると、宮城県内で使用する電気の約7割を賄うことができる。

原子力はウランで発電する。でも、ウランは99年ぐらいでなくなるそうだ。火力発電で使われる石油は50年、天然ガス51年、石炭は132年でなくなると言われている。ということは、あまり時間は残っていない。早く代わりの方法を見つけなければならない。

東日本大震災の時、女川原子力発電所は、設計されていたとおり、安全に運転を停止。冷温停止という安定した状態を保ったそうだ。だから、福島第一原子力発電所のような被害にはならなかった。発電所で働く人たちは、過去の知見を取り入れていつも備えていたそうだ。

震災直後、発電所の体育館が避難所になった。バスケットのコート2面分ぐらいのスペースに、震災の日から6月上旬まで多いときは300人以上が避難した。直後は、妊婦や酸素吸入が必要な人たちもいて、救助を待ち、ヘリコプターで仙台の病院に運ばれた。無事出産との話を聞き、避難所にいた人たちは喜んだそうだ。

震災の後、「津波」「地震」「電気と水の確保」「放射性物質を閉じ込める」「さまざまな災害やリスクへの備え」の5つの備えを強化した。中でも、防潮堤の整備には力を入れて、採用した工法で可能な最も高い海抜29㍍のものができあがった。横の長さは800㍍。東日本大震災では高さ13㍍の津波だったそうなので、発電所の周りから津波がきてもこれなら安心だ。

女川原子力PRセンターでは、自分で発電の実験をしたり、原子力発電の仕組みを2分の1の大きさの模型で確認したりすることができる。これからのエネルギー問題について考えるときには、正しいデータと理解が必要だ。

 


▲電気はなにから作る?どうやって?わかりやすく学べる

 


▲原子力発電のしくみを模型で確認

 


▲ジオラマで発電所の敷地全体を確認

 


▲女川原子力PRセンターを上から見ると「うみねこ」の形

 

女川原子力PRセンター [入場無料]
住所 女川町塚浜字前田123
電話 ☎0225-53-3410
見学可能時間 9:30~16:30
休館 毎月第3月曜日(祝日の場合翌日)、 年末年始

 

取材・文
阿部 壮汰
(渡波小学校2年生)
小俣 渓志郎
(矢本第二中学校1年生)
高橋 瞭輔
(蛇田小学校5年生)
平塚 蓮琳
(向陽小学校5年生)

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