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東日本大震災が起きた日

石巻出身 ムエタイ選手 倉持天一夢の世界武者修行

 

2011年3月11日、午後2時46分、大きな地震が起きて、津波が家までやってきた。家の周りはあっという間に湖のようになってしまった。水産機械を輸入する会社を経営している父は、胸まで水に浸かりながら、会社へ4トントラックを取りに行き、20人ぐらいを乗せて帰ってきた。とても寒かったので、昔、使っていた石油ストーブを4台出してきて、部屋を暖め、毛布を集めてみんなで一緒に寝た。
次の日からがすごかった。父の会社にあった水没した発電機を修理して、薪ストーブを設置。ご飯はプロパンガスのコンロで炊き、震災前に日本各地の水産会社からいただいていた、カニ、魚、肉などが大きなストッカーに入っていたので、野菜以外のおかずはなんとかなった。2〜3週間すると、全国の水産会社からカップラーメンや缶詰、米、見舞金その他たくさんの支援が届き、周りの人たちに配った。かなり早い救援物資だったと思う。
人が来るといつもおにぎりを握って持たせ、夜は薪ストーブの暖かい部屋で、避難してきた人たちを笑わせる。父はそれを2カ月以上続けていた。結局、2カ月電気が使えなかった。ぼくの家は大規模半壊で、その時、周りはまるで湖。何もない所ですごいと思った。


▲タイのお祭り「コムローイ」では、円柱形のランタンが空に解き放たれる

【文】
倉持 天一夢
(Traill International School 2年生)

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