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災害でも安全な石巻市立病院

2階より上に病院の役割
広い廊下やマンホールトイレ

 

石巻市立病院は、石巻駅前にある。ふつうの病院は、1階に診察室があるけれど、市立病院は、2階から始まっていて、1階は駐車場だ。その理由と市立病院の防災について取材した。

石巻市立病院は、前は海の近くにあった。そのため東日本大震災の時は、大きな被害を受けた。地震のあとに津波が来てまわりはみんな海のようになった。それでも患者さんやお医者さんや看護師さんは、建物の高い所に逃げたので、命はみんな大丈夫だった。
地震当日は入院患者が153人で、また、病院で働いている人や近所から逃げてきた人たちも加えると全部で450人がいた。避難してきた人や患者さんは、マスクや、アルコール消毒をして病気に感染しないように努めた。
特に大変だったことは「地震で停電になってしまったので、手術を途中でやめなければならなかった。また、病院が流されてしまうと思ったので、あとで発見された時のために、ペンでみんなの腕に名前と住所を書いた」と﨑山看護部長は振り返った。
病気が重症だった8人は、13日にヘリコプターで岩手県花巻市の飛行場に運ばれ、そこから自衛隊機で東京都内の病院に入院した。また、大地震の時に手術中だった人は、ドクターヘリで石巻赤十字病院に運ばれ、もう1回手術をしなおした。その次の日にほかの患者さんや家族の人たちがヘリコプターで脱出した。お医者さんや看護師さんたちは15日に病院から出ることができた。
それまでの食べ物はレトルトご飯に缶詰の魚などを乗せてみんなで少しずつ分けて食べた。患者さんたちにはじめに配って、病院で働いている人たちは、残ったものを食べた。

▽地震でも揺れを少なく▽

新しい市立病院は、石巻駅の前に建てられた。震災前は1階に受付や診察室があり、津波でいろいろなものが流されたけれど、今は1階が駐車場で、2階からが病院なので、水害に襲われてもあまり問題はないようにしている。
鷲見さんは「地震でも建物があまり揺れないようにする機械を1階と2階の間に置いた。ふつうの建物は地下に置くが、市立病院は1階に水があふれても影響がないようにしてある」と説明してくれた。
震災の時にトイレに困ったので、マンホールに直接流せるマンホールトイレというものも用意している。
各部署にはすぐに使えるヘルメット、担架などが置いてある。また、病院全体では、上の階から1階へぐるぐる回りながらおりていける避難用の袋や、いろいろなところに消火器、煙を外に出す機械などもある。屋上にはヘリポートが作られた。
ほかの病院にくらべると廊下が広いのは、患者さんの寝ているベッドを移動させる時に、ぶつからずにすれ違えるようにしているため。また、2階に床暖房の部分がある。これは災害が発生した時に患者さんがたくさんいても、カーテンをしめてここで診察ができるようになっているからだ。
そして前の病院では1階に保管していた飲み水や薬などが津波で使えなくなったけれど、今は水を3階に、薬を4階に置いているし、発電装置やいろいろな機械関係はすべて4階にあるので安全だ。

 

▲病院の防災について説明してくれた(左から)﨑山さんと鷲見さん

 

▲ほかの病院にくらべると廊下が広い

 

【取材に応じてくれた人】

石巻市立病院
﨑山 晶子さん
鷲見 祐一さん
鈴木 憲さん
舘山 直弘さん

【取材・文】
今野 ひなた(蛇田小学校4年生)

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