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災害時は、正確な情報で行動を! 石巻ニューゼ 震災伝承施設

2011年3月11日、午後2時46分、東日本大震災による大津波が石巻日日新聞社を襲った。電気が止まり、新聞を印刷する機械に水が入り使えなくなった。でも、紙とペンで壁新聞を作り、3月12日から6日間発行した。この壁新聞は、現在、石巻ニューゼ(宮城県石巻市中央2丁目8-2)に展示してある。そのほか、東日本大震災についての写真やパネルなどの資料を見ることができる。

石巻ニューゼは東日本大震災を伝える場所として2012年11月1日にオープンし、多くの人たちが震災を知るために訪れている。2019年3月28日、国土交通省が認定する「震災伝承施設」に登録された。
震災伝承施設とは、東日本大震災から得られた実情と教訓を伝承する施設のことで、3つに分類されている。第1分類は、災害の教訓が理解できるもの、災害時の防災に貢献できるもの、災害の実情や記憶の伝承と認められるものを指す。第2分類は、第1分類のうち、公共交通機関などの利便性が高く、近隣に駐車場があるなど来訪者が訪問しやすい施設。第3分類は、第2分類のうち案内員の配置や語り部活動など来訪者の理解のしやすさに配慮している施設を指している。石巻ニューゼは第3分類だ。
東日本大震災が起きたとき、携帯電話が使えなくなり、停電でテレビが見られなくなり、メディアは情報を提供できなくなってしまったため、被災者たちには情報がなかった。そのため、石巻日日新聞社は、近隣の避難所になっていた学校やコンビニエンスストアに、3月12日から3月17日までの6日間、手書きの壁新聞を届けていた。
新聞には当時の避難所の状況などの内容が書かれている。1日目と2日目の壁新聞には大きな字で「正確な情報で行動を!」と書いてある。震災で人々が不安になったとき、デマが流れると人々はもっと不安な気持ちになってしまい、パニックが起こることがある。フェイクニュースに注意しようという意味だ。「17日と18日は、電気が回復した家に家庭用のプリンターを持っていって小さな新聞を印刷しました。19日に新聞社にも電気がきたので、4000部ぐらい印刷できるようになり、みなさんに配ることができました」。そう語ってくれたのは平井美智子さん。平井さんは石巻日日新聞社の常務で、石巻ニューゼに常駐している。
石巻ニューゼには、その他にも東日本大震災当時の家や車が水没している様子を写した写真や避難所にいる人の写真などが50枚ぐらい展示されている。それを見ると、自衛隊や救命士のみなさんが一生懸命頑張っていた様子もわかる。地域の小中高校生や県外の人にもぜひ来てほしい。


▲解説を行う石巻日日新聞社の平井美智子さん

 

【取材・文】
阿部 明香里(蛇田小学校5年生)
今城 花月(蛇田小学校3年生)
小俣 渓志郎(大曲小学校6年生)
今野 ひなた(蛇田小学校4年生)
千葉 ふうな(大街道小学校5年生)
松川 美桜(二俣小学校3年生)

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