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親子で考えよう!SDGs 7・14・15について学びました

SDGsは、世界が直面しているさまざまな課題に対して取り組むための17の目標のことだ。2005年に国連が定め、達成の期限は2030年とされている。7月30日に開催された「親子で考えるSDGs海とエネルギーの旅 2022夏」(石巻日日新聞社主催、東北電力宮城支店協賛)では、このうち3つの目標について親子で学び考える機会になった。

14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう

朝7時50分、石巻駅前を出発した一行は、石巻市雄勝地区に向かった。40分ほどで到着。早速、シーカヤックに挑戦した。雄勝湾の海は、普段はとても静かで波がない。カヤックがひっくり返るのではないかという不安は全くなく、400㍍ほど先の対岸に到着。潮が引いていたため、上陸し探索することができた。海面がとても静かなので、水切りをしようと石を探していたところ、ひときわきれいな石が落ちていた。それは、雄勝石だった。元々この場所にあったものではなく、東日本大震災時の津波の引き波で、本土から流れ留まったものが時々見つかるそうだ。
雄勝地区では、震災の後、人口が4千人から1千人に激減した。11年過ぎ、高さ9・7㍍の防潮堤が1・8㌔にわたって建設された。対岸から見ると、まるで南極の氷の壁のように高く広範囲にそびえ立っている。石巻日日新聞社の秋山裕宏さんは雄勝の出身だ。「実際に到達した津波は20㍍の高さだったと言われているため、この防潮堤でも完全に津波を遮ることはできません。避難する時間が少し増えるだけと考えておく必要があります」と話していた。
石巻日日新聞社の渡邊裕紀さんは、雄勝の海の美しさは豊かな山があるからだと教えてくれた。「山から養分が流れて、海の生き物の栄養になります。豊かな海は山から始まり、世界中に繋がっていくということですね。陸を汚したら、海に流れて、魚がそれを食べて、それが私たちの食卓にのぼることになるんです」と話す。ゴミを捨てたら自分にかえってくる。ゴミは分別して処理しなければならないし、ゴミを出さない工夫も必要だ。

 

7 エネルギーをみんなに
そしてクリーンに

午後は、東北電力女川原子力PRセンター(女川町)に集まって、子どもたちが、それぞれ発電所になり、小さな手回し発電機で豆電球に送電する実験を行った。安定した電気を作るためには、力を合わせて発電機を回し続けなければならない。電気を使うものが増えると、発電機を回すのが重くなる。頑張って発電しなければならなくなる。
同センター所長の幕田浩之さんは「日本は電気の原料を海外に頼っています。火力発電は二酸化炭素を出すので、地球温暖化につながります。風力、太陽光などの再生可能エネルギーは自然に左右されるので、安定して発電をすることが難しいです。残念ながら、現状では完璧な発電方法がないので、さまざまな発電方法をバランスよく組合せて利用する必要があるのです」と説明した。
災害や戦争などで燃料価格が高騰すると、原料のほとんどを輸入している日本にとっては深刻な問題だ。SDGsの7番目「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を実現するためには、地球に優しい方法で作ったエネルギーを、全ての国の人々が平等に使えるように設備を整えることが必要だ。参加した嶋谷玲那さんは、「水道の出しっぱなし、電気のつけっぱなしをしないようにします」と話していた。
学校で環境保全や人権などを学ぶ機会があるが、考えられるすべての課題がSDGsにつながっている。身近なところでも、買い物用のビニール袋が有料になったのでエコバッグを持ち歩くようになり、プラスチックのストローが紙製になるなど、改善されていることもあるが、本当の問題を解決するためにはどうすればよいのだろうか。イベントに参加した高城彩花音さんは「これからSDGsについてもっと勉強したいと思います」と話していた。一人一人が問題と原因を知るところから始めて、身近なところから解決を考えていかなければならない。

潮が引いていたため上陸して探索
潮が引いていたため上陸して探索
ひとりひとりが発電所になって発電してみるとエネルギーをつくることの大変さがわかる
ひとりひとりが発電所になって発電してみるとエネルギーをつくることの大変さがわかる

取材・文
小俣 渓志郎(矢本第二中学校3年生)

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