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越変越好〜変わりゆく時代と仮面〜

お面の色にも意味がある。緑は勇敢な人を表している。
お面の色にも意味がある。緑は勇敢な人を表している。

想いを込めてパフォーマンスに取り組む王 拓希さん

 7月2日(土)、石巻市かわまち交流センターで、変面師・王 拓希さんによる「越変越好〜変わりゆく時代と仮面〜」のパフォーマンスがおこなわれた。王さんの本名は松林拓希さん。石巻日日こども新聞創刊号からの記者のひとりで、現在は東北芸術工科大学の3年生だ。公演に訪れた石巻地区日中友好会会長の白井省三さんは「まさか石巻で、それも現役大学生の演技を鑑賞させていただくとは本当に驚きでした。感動しました」と話していた。

「川劇変面」は中国四川省の伝統芸能で、もともとは人々が気持ちを伝える手法の一つだった。松林さんが変面をはじめたきっかけは、たまたま見たインターネットの動画だった。「仮面が変わるたびに指先の動きがしなやかに変わっていくのが、まるでたましいが変わるようで魅力を感じました」やってみたい、と思った。
インターネットの動画で動きの研究をし、中国から衣装を購入し、見よう見まね始めた。ある日、インターネットで王文強さんのパフォーマンスを見た。非常に美しい動きに引き込まれた。すぐに王さんにメールした。「独学に限界を感じていることや、王先生が取り組んでいる日本の劇と変面を組み合わせる活動への賞賛など、胸の内を伝えました」日本人だし断られても仕方ないと思っていた1週間後、返事が届いた。そこには「お話をしましょう」と書かれていた。とてもうれしかったそうだ。
王さんは、芸に対する姿勢がまっすぐで、普段はすごく優しいが、教えてもらう時は表情が一変する。それは仏様と金剛力士くらい違うそうだ。一人前になるには10年かかると言われている。
今回のイベント名「越変越好」は、「変われば変わるほどよい」という意味。こども記者の経験で、自己表現が得意になり、人として変わっていく自分の姿を重ねた。石巻はあらゆる意味で心のよりどころで、ふるさとだと言う松林さんは「最初は石巻で見てほしかったのです。演技という形で石巻に恩返しをしたいです」と話していた。

取材・文・写真
千葉 ふうな(石巻中学校2年生)

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