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連載第2回 ポケふたと震災遺構 気仙沼を襲った多重災害

この企画では東日本大震災で被災した宮城県の沿岸部の15市町にあるポケモンのマンホールと遺構についてレポートします。

イシツブテとも仲良しラプラス

気仙沼市のポケふたには、「ラプラス」と岩石ポケモン「イシツブテ」が描かれている。イシツブテは頭の部分が岩で、長い手がついているポケモンだ。
どうしてイシツブテなのかというと、ぼくの考えでは、気仙沼には2つの岩があるから。一つ目は、岩手県の岩。気仙沼は宮城県で一番岩手県に近い。イシツブテは岩手県の応援ポケモンだ。2つ目はリアス式海岸の岩。リアス式海岸は、もともと山だった土地に水が入って、長い時間をかけて土地が波で崩れ落ちていってできたもの。だから、気仙沼では、イシツブテが宮城県の応援ポケモン・ラプラスとタッグを組んでいる。このポケふたは気仙沼市の商業施設「ムカエル」の近くにある。(阿部壮汰)

津波死ゼロのまちづくり願う伝承館

気仙沼向洋高等学校は、明治34年に水産補修学校(今の専門学校のようなもの)として設立され、幅広い業種への就職を目指す人材の育成を行っている歴史ある学校だ。現在は内陸に移転している。
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、船の衝突などでタンクから重油がもれ、それに火がついたことが原因の火災で、気仙沼市は大きな被害を受けた。
気仙沼向洋高校旧校舎は、2019年3月10日、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館として生まれ変わった。震災の被害がほぼそのままの状態で残されている。
入るとまず震災当時の映像を大画面で見ることができるシアターがあり、奥に進むと説明パネルとともに、近くにあった水産冷凍工場の部品や車が流れてきたあとが生々しく残っている。他にも削れた壁や波によって積み上げられた車、壊れたフェンスなどから、改めて津波の強さ、恐ろしさを感じることができる。(阿部匠之介)

 


▲今も残る立派な校舎からは想像できない被害だった


▲校舎3階にも車が流れてきた。津波の大きさが伝わる

気仙沼市
人口 61,564人(令和2年10月現在)
東日本大震災による人的被害 1,357人

【取材・文・写真】
阿部 壮汰(渡波小学校2年生)
阿部 匠之介(渡波中学校1年生)

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