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鈴木哲也さんに聞く 高橋英吉の作品が教えるもの

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 宮城県柴田町に自宅があり、仕事のため今年3月まで3年間、石巻市で生活していた鈴木哲也さんは、高橋英吉についていろいろなことを調べている。どうして興味を持つことになったのか。そして、作品の魅力はどういうところかなどを語ってもらった。
 ―鈴木さんはなぜ、英吉についてくわしく調べているのですか。
  もともとは、柴田町出身の彫刻家の小室達のことを調べていました。仙台のシンボルである伊達政宗公騎馬像を作った人です。その小室達と高橋英吉は、同じころに彫刻家として活動していて、2人とも宮城県出身なので関わりがある人物だとわかりました。
 私が石巻に来る前は、名前しか知りませんでしたが、2018年9月1日に旧観慶丸商店で英吉の生涯をテーマにした映画の上映会があり、それを見てもっと知りたいと思うようになりました。それで図書館で資料を見つけたり、英吉の関係者の方に話を聞いたりして調べ始めました。
 ―どのような作品がありますか。
  人物像や仏像、ハトやシカなどの生き物がモチーフになった作品が多くあります。ほかにも、着物の帯をとめる〝帯留め〟もあります。仏像などの鑑賞用から、その時代の日用品までいろいろなものを作っていることが分かります。
 「海を主題とする三部作」の「黒潮閑日」「潮音」「漁夫像」は、多くの人に知られていますが、ほかにも魅力的な作品がたくさんあるので、まきあーとテラスの展示だけでなく、新聞やホームページなどでもどんどん紹介してほしいです。
 ―英吉の作品が今の私たちに教えることは何でしょうか。
  英吉は作品を制作する時、伝統を大切にしつつも、新しいやり方を見つけようと努力し、自分の志をかなえようとしました。その姿勢は、時代が変わっても大事なことです。
 そして、31歳という若さで戦争で亡くなった英吉の人生が、「戦争は絶対に、してはならない」ということを訴えています。

取材・文
 日下 瑠香
 杉浦 泰地
 (湊小学校6年)

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