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SNS通じて未知の職業を発信 若い世代の〝お仕事図鑑〟を目指して

ホワットのこんなお仕事あったんだチャンネル
プロデューサー 高橋 千さん

「将来の夢はなんですか?」と聞かれてすぐに答えられるだろうか?今ある職業が10年後にもあるかどうかわからない時代になってきたと言われる。「ホワットのこんなお仕事あったんだチャンネル」でさまざまな職業を紹介している株式会社アームズの高橋 千さんにお話を聞いた。

高橋 千さんは石巻出身のCMプロデューサー。プロデューサーとは、イベントやコマーシャル、映画、音楽などのプロジェクトの企画から実行までを仕切る人。予算、スケジュールや品質の管理が仕事だ。
「最初からプロデユーサーになりたかったわけではないです」と高橋さん。中学生ぐらいから、高校を卒業したら東京に出たいと思っていた。ある時、アメリカの音楽専門チャンネル「MTV」でプロモーションビデオを見て、映像がかっこよく衝撃を受け作ってみたいと思った。横文字の仕事へのあこがれもあった。入社して、無我夢中で働いた。3年でやめようと思っていた時期もあったが、結果30年以上、さま
ざまなCM制作を手がけてきた。
CMとはテレビコマーシャルのこと。商品を売ったり宣伝したい企業がお金を出して、テレビで宣伝するための動画を作るのが高橋さんの仕事だ。たくさんの人たちが関わって作るので、板挟みになることもあるが、スタッフが楽しんで仕事ができることを一番大切に考えている。
これからは人の役に立つこと、エコロジーを進めること、SDGsがテーマになる企業のCMを作りたいそうだ。
CMだけでなく、SNS動画で人の役に立つ情報を発信できないかと考え、今、「ホワットのこんなお仕事あったんだチャンネル」を制作・発表している。知りたがり屋の宇宙生物「ホワット」が、世の中にあまり知られていない職業を紹介するシリーズだ。
「私が中学生ぐらいの時には、インターネットもなく、地方にいると、世の中にどんな仕事があるのかわかりませんでした。将来の仕事を選ぼうとしている中学生から22〜23歳の学生さんたちにぜひ見てほしいです」と高橋さん。若い世代が将来の仕事を探すときの「お仕事図鑑」になることを目指している。
動画の最後に紹介される制作スタッフのクレジットを見ても、どんな仕事なのかわからないものがたくさんあったので聞いてみた。「出演者の他に、例えば、『クリエイティブ』は作品の中身に責任を持つ人、『構成』は作品のシナリオと構成を考える人、『演出』はディレクターでクリエイティブの方針を受けて具体的に決める人、みなさんのあこがれです。『撮影』はカメラマンのこと。『スタイリスト』は服を決める人、コーディネートする人、『MA』は 音を整理したり管理したりする仕事です」。動画制作一つとってもこんなにたくさんの仕事があるなら、自分の得意な分野を見つけていくのはそう難しくもなさそうだ。
高橋さんが子どものころに住んでいた石巻市門脇町のあたりは東日本大震災の津波で大きな被害を受けた。「思い出の場所も家もすべてなくなりました。そんな経験はめったにないことだと思います」と高橋さんはしみじみ語る。ストレスの多い激務をこなす中で、なんでも聞いて相談に乗ってくれたお母さんを8年前に亡くした。「天国に電話がつながらないかなぁと思うことがあります。仕事に必要なのは悩みを共有できる人の存在です」と話していた。

「ホワットのこんなお仕事あったんだチャンネル」はYoutubeで公開中
https://www.youtube.com/channel/UCIVYrVTvkiN4zPo8KZIk4tA

取材・文
千葉 美琴(蛇田中学校1年生)

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