2024/09/11
阿部 壮汰
阿部 匠之介
8月1日・2日、京都で行われた「第29回NIE全国大会京都大会(主催:日本新聞協会)」には、NIE(News in Education)に携わる多くの関係者が参加した。特別分科会「子ども新聞、子ども記者活動~地域を知るワクワク感、発信する楽しさ」では、京都、大阪、神戸、石巻の小・中学生、高校生の記者たちが、活動の経験や思い出を話し、チャットシステムを利用した参加者からの質問にリアルタイムで答えて会場を盛り上げた。また、今年初めて行われたポスターセッションでは、こどもみらい通信社の石巻支局を担当する「こどもみらい研究所」、神戸支局を担当する「こども編集部」を含む50以上の団体が発表を行った。
特別分科会「子ども新聞、子ども記者活動~地域を知るワクワク感、発信する楽しさ~」
8月2日(日)11:00-12:30 会場:京都経済センター
参加者の最大の関心は、子どもたちが記者活動を続けてきた理由に集まった。「文章力がついた」「まわりを見る力がついた」などの意見があり、1番多かったのは、「楽しいから」「興味のあることを自分の力で調べられるから」というものだった。他にも「普段入れない所に入れたこと」や、「おいしいものをたくさん食べることができた」などの意見もあった。
司会をつとめた京都子ども記者クラブの吉川 輝竜さん(高校1年生)は、「全国大会という大きな舞台で、しかも新聞記者や先生方などが多くいる場で司会を任されてうれしいと同時に、責任感からとても緊張しました」と話す。しかし、聴衆側にも子どもが多いことに気が付き、子どもたちが話しやすいように柔らかい進行を意識したところ、自然に緊張が解けたという。はじめは司会者という立場に重圧を感じていた吉川さんだが、子どもたちの活発な意見に助けられ、楽しむことができたと話していた。
特別分科会では、関西を中心に各地で取材活動を行う子どもたちに話を聞くことができた。活動拠点は違っても、全員が取材活動にやりがいを感じ、楽しんでいることがわかった。改めて取材活動の素晴らしさを感じた一日となった
ポスター発表会場
8月2日(日)会場:京都経済センター
今回初めて行われたポスターセッションでは、小学生から大人まで幅広い世代の50を超える団体が参加し、SDGsなど時代にあった内容や、自分が経験したできごとの紹介、団体の活動紹介などが行われた。学校で実践できたら楽しそうな活動が、株式会社ルテシアの「BEST SCOOP」という新聞を使用したゲーム。お題に沿って新聞の一面に書かれている言葉や数字を探し、一番お題に近いものが勝ち、というものだ。「一番大きい数は?」など簡単なお題もあるが、「印象のある記事は?」のように人によって違う答えが出るものもある。発表者の大山徹さんによると、これは実際に学校の授業で使われており、みんなで答えを探すことで子ども同士のコミュニケーションの機会にもなっているそうだ。
デジタル発表会場
8月1日(土)会場:ロームシアター京都
1日目の8月1日、全国の新聞社によるデジタルサービス等の発表が行われていた。興味深い、素晴らしいと思った取り組みを二つ紹介する。
まずは株式会社新聞ダイジェスト社の「月刊新聞ダイジェスト」。日本で唯一の全国紙のダイジェスト版で、6大新聞の1ヶ月間の注目記事をまとめた冊子だ。広報担当者によると、1ヶ月のニュースを1冊で知ってほしいことはもちろん、若者の新聞離れが増える中、この雑誌で新聞を読むきっかけをつくりたいという。また、ニュースや最新時事用語解説の連載、時事問題の模擬試験など、広い世代に需要がある内容であることも魅力の一つだ。近年、新聞を定期購読する家が減ってきている。この新聞ダイジェストを通して、新聞の魅力を感じ、読むきっかけにしてみてはいかがだろうか。
二つ目は、公益財団法人理想教育財団の「はがき新聞」という活動だ。はがき新聞は「はがき・手紙・新聞」の3つの要素からできている。使いやすい大きさの「はがき」、切手を貼ることで全国へ届けることができる「手紙」、事実と意見を分けて相手に伝える「新聞」、これらがはがき新聞の特徴であり大きな魅力だ。はがきサイズであることから、文章が苦手な子どもにとっては書きやすく、得意な子どもにとっては限られたスペースで伝えたいことを伝える面白さが感じられるだろう。また、自由なレイアウトや絵を入れられること、文字の大きさの調節など自由度がとても高いため、誰でも楽しく作れることも魅力の一つだ。新聞づくりの一環として始まったはがき新聞だが、現在は、教育現場で行事のまとめ新聞やお世話になった方へのお礼状、学級新聞、意見文の用紙など、広い用途で使われている。はがきという親しみやすい大きさでかつ自由度の高いこのはがき新聞は、広い世代を繋ぐツールとなるだろう。
【取材・文】
阿部 壮汰(渡波小学校6年生)
阿部 匠之介(東北学院高校1年生)