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ARMにようこそ!ITの街ケンブリッジ

言葉を超えた楽しい体験させていただきありがとうございました!

 英国のケンブリッジはITの街でもあることをみなさん知っていますか?代表的なIT企業、ARM社を取材しました。
 ARM社は、ケンブリッジを拠点とし、英国国内だけでなく、アジア、ヨーロッパ、中東、北米と、世界中にオフィスが点在している。ITエンジニアは全体で3300人いるという。ARM社はCPUを「設計する」会社。 
 CPUとは、携帯電話やパソコン、カメラなど電化製品の頭脳として働いている部品のこと。CPUは設計に2~3年、制作に2~3年、つまり、設計を始めてから市場にでるまで4〜5年かかる。製品としてのCPUを製造するのは半導体メーカーで、製造されたCPUを購入するのがパナソニックやキャノンなどのメーカーだ。ARM社が設計したCPUは、昨年1年間で約170億個出荷された。これは、世界人口の2倍以上に相当する数。携帯電話が登場したころ、ARM社が設計したCPUが使われ、その普及とともに会社がどんどん大きくなった。
 「もともとARMは小さな会社だったんですよ」と話すのはEnlighten事業部ゼネラルマネージャーのクリス・ポートハウスさん。ポートハウスさんが働いていた会社がARM社に買収されたので、ARM社の社員になったのだそう。ARM社はそのように多くの会社を吸収して大きくなった。
 現在、ARM社が設計したCPUのシェアは、携帯電話ではほぼ100%、TVでは50%、車や電気自動車では10%、コンピューターのサーバーでは10%にものぼる。これからもそれぞれのシェア拡大が見込まれるので、雇用も増えることが期待できる。ちなみに、ケンブリッジの人口は約12万人。ケンブリッジで働くARMの社員は2200人。なんと市の人口の1・8%にあたる。ARM社は、2016年9月に、日本のソフトバンクグループ傘下に入った。同グループ代表の孫 正義さんはケンブリッジで働くARM社の社員を2倍にすると約束したそうだ。
 ARM社には、ケンブリッジやイギリスの人だけでなく、たくさんの国籍の人たちが働いている。国や文化が違うことで考え方も違うため、何かを考える上でいろいろな見方やアイデアが生まれる多様さが特色だ。
 社内のカフェテリアにはたくさんの空になったシャンパンのボトルが展示されていた。ひとつの事業が成功するごとにシャンパンでお祝いをし、成功の証として飾っているのだそう。ホワイトボードには「あなたの考えを聞かせてください」と書かれている。社内で思いや考えを自由に発信する仕組みになっている。チームワークと同様に個人の主張も大切にする雰囲気が作られていた。
 「『連携』という言葉はARM社にとって不可欠な要素です。個人と個人が連携し試行錯誤することでひとつの設計ができます。個人で構成される会社と会社が連携してできる設計もあります」と説明してくれたのはマーケティング部長の濱田拓也さん。ARMが作った設計を別な企業が「連携して」製品化する。そうしてできあがった製品はスマートフォンなどになって、同社のCPUが入っている他の製品と「連携して」使用され、私たちの日常生活を便利にしながら進化していくのだという。これからも新しい発想と技術で私たちの未来を豊かにしてほしい。

【取材・文・写真】八重樫蓮(石巻工業高校1年生)

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