記事詳細

石ノ森章太郎さんは宇宙人だった

拾った石(実物)が模型に使われた

 石ノ森萬画館(石巻市中瀬)は白くて丸い建物だ。なぜこの形になったのか知りたいと思い、同館を運営する株式会社街づくりまんぼうの西條允敏社長と、設計した黒木正郎さんに取材した。
 ある日、黒木さんは、多摩川(東京)の川辺で、石ノ森萬画館の形をどうするかについて、石ノ森章太郎さんと話し合っていた。その時、黒木さんが石を拾った。その形がまるで宇宙船のようだった。「その石の形から、石ノ森さんが実は宇宙人で、宇宙船に乗って石巻を攻撃しに来たのに、石巻があまりにもよい所だったので、そのまま住むことにした、という話が生まれました」と黒木さん。石ノ森萬画館はなんと宇宙船の形だった!
 石ノ森萬画館は、北上川にできた中州にある。北上川は、石巻の中心を流れている全国で4番目に長い川。江戸時代から、川の岸辺にお店や乗船場などがありにぎやかで、石巻の人たちは北上川と、とても親しい関係にあった。「石巻の人たちに楽しんでもらうために、石巻の中心に夢のある施設を造ろうと考えました」と西條さん。
 石ノ森萬画館は、津波の事を考えて造られた。1960年のチリ地震津波の高さより高い所に建物を持ちあげたので、今回の津波でも建物の下で水が止まった。「建物に続く坂道を三角にして、水が建物を避けるように設計しました」と黒木さんが教えてくれた。石ノ森萬画館が津波に流されなかったのは、設計に工夫があったのだ。
 石ノ森萬画館にはすべての世代が訪れる。大人も子どもも楽しめるからだ。石ノ森さんの作品などの展示物を見るために、全国から多くのファンも訪れる。震災後、リニューアルオープンしてから1年間は、震災前より3割くらい多くの人が来館した。たくさんの人が石ノ森萬画館に来て、石巻がにぎやかになってほしい。

Copyright (C) Kodomo Mirai Kenkyusho. All Rights Reserved.