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雄勝とそばが好き|好きこそものの上手なれ

子どものころの夢はパイロット

 震災で大きな被害を受けた雄勝町。なにもなくなってしまった高台に「てらっぱだげ」というそば処がある。店主の千葉正人さんに聞いた。

 消防署員だった千葉さんは、ふるさと・雄勝とそばが大好き。ふるさとで店を開こうと56才の時に退職した。お店の名前「てらっぱだげ」は、「寺の畑」という意味の方言。昔、この辺りはお寺の土地だったそう。3年10ヵ月たったとき、東日本大震災が起きて、店が全部壊れてしまった。再開するために、たくさんの人たちに助けてもらったそうだ。テレビやボランティアのみなさんによる口こみの協力もあり、多くのお客さんが来てくれるようになった。「3年たった今も、被災地視察や仕事で雄勝に来る人たちが来てくれます。なかなか復興計画が進まず、魅力を発信できていません」と千葉さん。店のとなりには千葉さん手作りの遊具がある。これからツリーハウスなど、子どもたちが安全に遊べるところをもっとつくろうと思っている。
 そばを打つ時、食べてくれるお客さんの笑顔を思い浮かべるそうだ。お客さんが一口食べて、言葉にならないほどおいしいと思ってくれるのが目標だ。そばづくりで一番大切なのは、水回しとゆで加減。山形の「出羽香」というそばを使っている。甘皮から石臼でそば粉にしたもので藪そばをつくるとおいしいそうだ。お店オリジナルのつゆづくりも工夫している。いいお店をつくるためには、「もっとおいしいそばを打ちたいと思うこと、一途に頑張ることが大切です」と話してくれた。

【取材・文・写真】山口葵(山下小学校4年生)

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