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「んで、やってみっか」石巻発「おらほのラジオ体操」

石巻発「おらほのラジオ体操」

 震災後、宮城県内外の協力を得て、地元の方言で子どもからお年寄りまで楽しんでもらえる作品ができあがった。それが「おらほのラジオ体操」である。ナレーションを担当した石巻市鮎川出身のフリーアナウンサー本間秋彦さんにお話を聞いた。
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 制作の話があったのは、たくさんの人が避難所生活でつかれ始めていたころのこと。元気をなくし、運動をする雰囲気もない中、すごくいいことだと思ったそうだ。避難所などでは、一日中横になったままでいる人も多く、病気にならないか心配な状況。みんなが健康で元気になるために、何かできることはないかと考えて生まれたのが、この「おらほのラジオ体操」だ。お年寄りにも体を動かしてほしいという思いから、石巻弁を使って監修されたそうだ。「『ああ、故郷の言葉っていいなぁ』と、どこにいても宮城を懐かしむ気持ちになってもらえたら、と思う。宮城が故郷でない人にも、良さを感じてほしい。」
 お話をすることが仕事の本間さん。「石巻弁は、生まれてからずっと親しんでいる言葉。大好きだ。今、自分が使うことで、残して行きたい。昔の友だちと話すと、懐かしさからいつの間にか地元の言葉になる。だから方言はいいんじゃないか?」
 「3・11」という言い方は、「人ごとみたいに思えてしまう」という。「記号の一つに扱われているように思えてしまう。他地域のニュースでも『そろそろ3・11ですね』と紹介されると、すごく悲しくなる。だから自分は絶対に言わない。『3月11日』と言う」
 「被災者」という言葉は使いたくないし、使わないように意識している。「被災された方」というように心がけている。自分も含め、みんな大なり小なり被害を受けているし、大変な思いをしている。だから、「自分は被災者だから」というのも変だな、と思っている。
 石巻の人が元気になる言葉を選んでほしいとお願いしてみた。
 「んで、やってみっか!」
 この中には、「んで、しゃぁねぇなあ(それはしかたがないなあ)」「おめぇ(おまえ)が言うなら俺もやる」「みんなでやっか(やろう)!」「どれ、自分で立ち上がっか(たちあがろう)!」など、いろんな意味が込められているそうだ。
 今や「おらほのラジオ体操」は、海外にも波及。世界中の人たちを元気にするプロジェクトに成長してほしい。

取材・文:松林 拓希(蛇田小学校5年生)

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