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石巻日日こども新聞「若宮丸探検隊」④|陸の道と海の道を松島湾でつなぐ

若宮丸の紙芝居を制作

 若宮丸探検隊の私たちは、今、紙芝居を作っている。12月19日に開催される、つながる湾プロジェクト「旅展」という展覧会(於:杉村惇美術館、宮城県塩竈市)で、発表する。

 「つながる湾プロジェクト」は2012年から大沼剛宏さんが行っている松島湾を囲む地域の繋がりを探す活動。昔から陸の道と海の道があり、その境界線は文化的にはなかったのではないか、と大沼さんは考えている。「歴史や文化を忘れてしまっている人が多いのですが、それをもう一度探し、いろいろな人たちに伝えて残したいと思います」と大沼さん。
 アーティスト、漁師、市役所の人たち、住んでいる人たち、文化をもっと感じたい人たちが参加している。「普段、漁師さんたちと会うことはありませんでしたが、海で暮らす人たちの話を聞くことができてよかったです。もっとこの土地を好きになりました」と大沼さんは言う。
 この「旅展」では、カラフルな漁網でつくった「そらあみ」やタイムカプセルの展示、手紙の募集をする。主催者のひとりである高田彩さんは、若宮丸の物語を伝える「語り継ぎのためのリーディング」という活動を行なっていて、今回、私たちの紙芝居制作のサポートと「旅展」での発表を提案してくれた。
 震災後、自分が暮らす土地のことや地域の歴史について学ぶ機会があり、その中に、若宮丸の船乗りたちの物語があった。「220年も前の物語が、震災後を生きる私たちの物語と重なる部分があると感じました。語り継がれる物語をそのまま伝承するのではなく、五感を刺激しながら楽しく読み解いて、それぞれの視点で語り継いだらおもしろいと思います」と高田さんは言う。「漂流民が初めて食べたパンづくり」や「アレクサンドル一世が身につけていた勲章作り」などのワークショップをしていて、参加した人が地域の物語に出会うきっかけを作っている。歴史や地域に関心が高い人だけではなく、「楽しそう」「おもしろそう」を入り口に、参加する人も。「語り継ぎのためのツールづくり、ワークショップでつくったものの展示や発表などを行い、若宮丸の船乗りたちの物語を多面的にお見せしたいです」と話してくれた。

【取材・文】山口莉子(山下小学校6年生)

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