海にあこがれた少年-手描きの魚類図鑑を発行
座間彰さんにお聞きしました

2023/10/11

取材したこども記者

阿部 壮汰
座間さん(右)

「お魚あれこれ」は手描きの魚類図鑑だ。魚たちが美しい色の水彩画で細かいところまで描かれている。どうして手描きにこだわったのだろうか?出版した座間 彰さんにお話を聞いた。


座間さんは千葉県の山で生まれ育った。海は身近な場所ではなかったそうだ。小学校3年生のときに初めて大きな船に乗って海に出て、自分の住んでいる山を海から見たことがある。「その時から船長になりたいと思っていました。」

ところが、視力が落ちて、船長になる夢をあきらめるしかなかった。でも、海へのあこがれは変わらなかったので、東京水産大学(現東京海洋大学)に進んで魚の勉強を始めた。座間さんは、元宮城県水産高校(石巻市)の先生で、今も石巻市に住んでいる。

退職後、時間ができて、水彩画のサークルに参加した。初めて水彩色えんぴつで絵を描いた。「これは面白い!楽しい!と思いました。ジャガイモを描いたり、生の魚じゃベタベタするので、干物を描いたりしていましたよ」と笑う。水彩色えんぴつの楽しさは、工夫すると色が混ざりやすく、グラデーションしやすいこと。絵の具ではなかなか難しい色作りが手軽にできる。夢中になったそうだ。

 水彩色えんぴつで描いている

絵を描くときは、特に「うろこ」に気をつけている。うろこは、大きさは同じで並び方も皆同じように見えるが、魚の種類によって並び方や数が違うので、よく調べる必要がある。数えることもあるぐらい丁寧に描いているが、あゆのようにうろこが小さい時はあきらめることもあるそうだ。

大学に入って、魚の勉強を始めて、タツノオトシゴが魚だと知った時には驚いたそうだ。「これこそ、目からうろこです。普通、魚は頭から尾まで一直線なのに、タツノオトシゴは直角です。尾っぽで海藻に巻きついたりしているから、とても魚だとは思いませんでした」確かに、魚のようには見えないが、座間さんの魚類図鑑にはしっかり描かれている。

 裏表紙に選んだのはハマダイ「深海の女王」

 ハマダイの原画

「お魚あれこれ」の裏表紙に描いてあるハマダイは、座間さんの好きな魚のひとつ。高級魚で、食べた時にあぶらがあって、すごくおいしいそうだ。食べて好きな魚は、「クロマグロ」「メヒカリ」「もどりがつお」「キチジ(キンキ)」など。お酒にもあう魚たち。さんまやもどりがつお、さけが出てくると秋だなぁと感じ、たらが出てくると冬になったと魚で季節を感じる。石巻らしい魚といえば?「アイナメです。関東では、大きくても20〜30cmですが、女川で50cmぐらいのアイナメを見ました。さけみたいに大きいです」と話してくれた。ちなみに石巻地域ではアイナメは「ねう」と呼ばれている。

勉強すればするほど魚への関心は高まるばかり。これからも魚のおもしろいところを教えてほしい。

座間彰さん(右)

手描きの魚類図鑑「お魚あれこれ」は石巻日日新聞オンラインストアでお買い求めいただけます。

https://shop.hibishinbun.com/items/61423773

 

こども記者:

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