石巻のこども記者、神戸で学ぶ
新聞づくりとシティズンシップ
阪神・淡路大震災のこと

2023/07/11

取材したこども記者

阿部 匠之介

村松 玲里

阿部 壮汰

2022年12月、日本NIE学会の大阪シティズンシップ研究会のメンバー4名が宮城県石巻市を訪れた。「シティズンシップ」とは「社会の一員として、他者と協力しながら、主体的に課題にとりくむ姿勢のこと」。石巻日日こども新聞の記者として取材を受けたことがきっかけとなり、3月25日、神戸で開催されるイベントに3名の記者が参加した。神戸といえば阪神・淡路大震災の被災地だ。新たな学びを求めて「人と防災未来センター」で取材した。

子どもたちのシティズンシップ

2023年3月25日、神戸学院大学神戸三宮サテライトキャンパス(兵庫県神戸市)にて、大阪シティズンシップ研究会の主催により「新聞づくりとシティズンシップ-こども新聞記者に託す未来の社会-」が開催された。これは、子どもたち自身が新聞を制作し、地域住民へ配布する活動を続けている取り組みから大人が学ぶためだ。
今回招かれたのは、学校の授業として新聞づくりに取り組んでいる守口市立守口小学校(大阪府)と子どもの自発的な参加による石巻日日こども新聞(宮城県石巻市)の子どもたちだ。それぞれが活動紹介をし、参加者からの質問に答えた。子どもたちに未来へのメッセージを求めたところ、「大人たちは歴史に学んでいないから、教訓として次に残すべきだ」「選挙のビラ配りをしていた人が、目の前を歩いていた大人には(ビラを)渡したのに、自分にはくれなかった。選挙の投票率が低いと問題になっているが、機会を与えてほしい」などとという意見があった。
主催者の中 善則さん(花園大学)は「世の中を良くしたいという子どもたちの想いを強く感じた。ネットワークを大切に、子どもたちの活動を支えたい」と話していた。

阪神・淡路大震災のこと

阪神・淡路大震災は、1995年(平成7年)1月17日5時46分兵庫県淡路地域が震源で起きた地震による災害。最大震度は震度7、人的被害は6,434人だった。2002年に「人と防災未来センター」(神戸市中央区)が完成し、阪神・淡路大震災の経験と教訓、防災、減災、縮災の大切さを世界に発信している。
香西 義隆さんは神戸市長田消防署に勤務しながら、ボランティアとして、語り部活動を行なっている。伝える方法はいろいろあるが、「直接話すことが一番です。それでも、28年前の自分の気持ちを表現する言葉がまだ見つかりません」と話す。
消防士として、助けることをあきらめてはいけないが、助けることに「あせった」そうだ。「すべてのひとが助かる状況ではありませんでした。選別する必要がでてしまったのです。今助けようとしている人はもうだめかもしれない、まだ他に生きている人がいるかもしれない、というあせりです。」これ以上救助活動を続けられないと判断した時に、承諾してくれる人もいれば、「見捨てるのか、人殺しだ」と怒鳴る人もいた。とてもつらいことだった。
関西は地震が少ないため、自治体にあっても大震災を想定したマニュアルが十分に整備されておらず、その後、大幅に見直されたそうだ。
「災害の規模と程度によっては、全員を助けられないこともあります。助けが来ないかもしれないと考えて、自分たちで命を守る行動を取れるようになることが減災への第一歩です」と香西さんは言う。
どんな時でも、状況に応じて自分がすべきことを考え、行動できるようになることが大切だ。

 

編集後記

阿部 匠之介 東北学院高校1年生
守口のみなさんは、思いを言語化する力がすごいと思いました。朝日新聞の方から、「侍ジャパン日本一」の号外をもらえてうれしかったです。

村松 玲里 蛇田中学校3年生
シンポジウムで質問を受けて、話したことによって自分の考えが整理されて再認識できました。最初に取材を始めた時と今と変わっていないと思いました。

阿部 壮汰 渡波小学校4年生
阪神・淡路大震災は、今から28年前、ぼくが生まれる17年前におきましたが、人と防災未来センターには、写真や当時のものと「語り」があって、震災についてとてもよくわかりました。BOSAIサイエンスフィールドでは、足で押して水の流れを作る装置があって、津波ができる仕組みがよくわかりました。

こども記者:,,

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