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みらいに残そう!ふるさとの食卓 宮城の郷土料理を知っていますか

宮城の郷土料理おくずかけ
宮城の郷土料理おくずかけ

 東日本大震災や少子高齢化の影響で、生活文化や伝統を直接子どもたちに伝える機会が減っている。みんなで郷土料理を作って味わい、その思い出といっしょに次世代に伝え残す取り組み「みらいに残す、ふるさとの食卓~大人から子どもたちへ伝えておきたい味と思い出」を取材した。

9月21日(土)「おくずかけ」

東松島市あおい地区あおい西集会所

 「おくずかけ」は野菜やこんにゃく、とうふ、まめふなどをしいたけの戻し汁で煮たとろみのついたしょうゆ味の汁ものだ。季節や家庭によって材料が違う。あおい地区は、半分以上が大曲地区から移転してきた人たちなので、この日は大曲地区の作り方で、子どもたちが、地域のお年寄りを見守る見守り隊のみなさんと一緒につくった。大曲地区では、彼岸などの仏時は、赤い野菜は使わないそうで、今回はにんじんを入れなかった。見守り隊の女性は、「今日のおくずかけは子どもたちが上手に作ってくれたので、とてもおいしくできました」と話していた。
イベントがつなぐ伝統の食
 この日訪れた前石巻専修大学学長の坂田 隆さんは、「おくずかけの調査をしていた時、すべての家の共通点は『まめふ』のみでした。 家庭によって違うのが郷土料理の魅力だと思います。地元においしいもの、魅力がたくさんあること知り、自信を持って発信してほしいです」と話していた。

11月30日(土)「おぞうに」

女川町保健センター

 女川のおぞうには、もちと、だいこん、にんじん、ごぼうの千切り、まめもやし、しみどうふ、セリなど、具だくさんのしょうゆ味。子どもたちが、女川町食生活改善推進委員会のみなさんといっしょに作った。食材を提供した㈱石巻青果の門間 義典さんは「地域の食材をもっとみなさんに知ってもらいたいので、伝統食、行事食のおぞうにをみんなでつくって食べることはすばらしいです」と話していた。参加した子どもは「にんじんがかたく千切りが意外とむずかしかった」と話していた。
女川の獅子振りは復興の原点
 おぞうにを食べたあと、女川小獅子振り隊による獅子振りの発表があった。鈴木 碧虎さんは「頭をかんだ時のお客さんの笑顔を見ることがやりがいです。 大人に負けない演技をめざして中学校でも続けていきます」、佐藤 弥里さんは「獅子の顔やつなげる言葉が地域によって違うところが魅力です。 盛り上げてくれるお客さんが演技の力になります。」と力強い言葉で話した。ふたりとも獅子振り隊の創設メンバーだ。
 昔から女川では獅子振りが盛んで、新年には町中を回っていた。東日本大震災のあと、集団避難先だった秋田県仙北市のホテルで、人々を元気づけようと獅子振りを披露した。ホテルの座布団やスリッパで手作りの座布団獅子振りに、みんな涙を流した。竹浦獅子振り保存会の阿部 貞さんは「女川の獅子振りは復興の原点です。伝統を受け継ごうとする子どもたちから、獅子振りの縦、横のつながりを広げる力を強く感じます。祭りなくして復興なし。これからも獅子振りの力で町をにぎやかにしていきたいです」と話していた。

女川小獅子振り隊の発表
女川小獅子振り隊の発表

仙北市生まれの座布団獅子
仙北市生まれの座布団獅子

 

1月18日(土)「がんづきとながし焼」

石巻市二子西町内会館

 石巻地域に古くから伝わるおやつ「がんづき」には、白いものと茶色いものがある。小麦粉、砂糖、水をまぜ生地をつくり、子どもたちが真剣に型に流し込んだ。 茶色いがんづきには黒糖を使う。初めて黒糖を食べた子どもは、「(苦みがあって)コーヒーみたい」と話していた。蒸しあがったがんづきは、たこ糸で切って小さくわけた。
 次にながし焼きづくりに挑戦。ホットプレートに生地を流し込み、表面に気泡が出てきたら、ひっくり返す。そのまま食べてもおいしいが、バターとはちみつをかける食べ方が子どもたちに人気だった。参加した黒田 哲太さんは「がんづきもながし焼きも初めて食べました。とてもおいしかったです」と話していた。
 二子地区は、東日本大震災のあとに石巻のいろいろなところから人が集まってできた新しい町だ。作り方を教えてくれた山下 陽子さんは、「二子地区にひとりでも多くの人が集まってほしいです」とにこやかに話してくれた。二子西町内会長の山下 憲一さんは、「昔ながらの食が伝わりました。震災前の地域のいろんなことを伝えたいです」とうれしそうだった。

白いがんづき
白いがんづき

【取材・文・写真】阿部 匠之介(東北学院高校2年生)、阿部 壮汰(渡波小学校6年生)

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