ポケモンマンホール「ポケふた」と、その地の震災遺構を取材する本シリーズでは、宮城県内15の被災市町にあるポケふたと震災遺構を紹介し45号で完結した。今回は、福島県双葉町まで足を延ばして取材した。
ポケふた
ヒマナッツと共に目指そう復興
福島応援ポケモンの「ラッキー」と、種ポケモン「ヒマナッツ」。背景には紫と白の花がたくさん描かれている。ラッキーのポケットには白くて大きい卵がある。その卵には栄養が詰まっていて、傷ついた人を見かけたら、ラッキーが栄養を分け与える。また、ラッキーは進化すると「ハピナス」になる。ハピナスにも卵があり、それを食べると、だれでも幸せになれる。福島の「福」とかけられているのかもしれない。
このマンホールがある双葉町の「双葉」は芽が出たときに出てくる2枚の葉という意味だ。種ポケモンのヒマナッツの頭には双葉があるから、双葉町のポケふたに選ばれたのかもしれない。ヒマナッツは自分で自覚しているほど弱い。しかし、敵に襲われても、必死に葉っぱを振り回して追い払おうとする。そして、進化に向かってひたすら栄養をためこむ。最近、ようやく避難指示が解除された双葉町は、まだ、復興に向かってスタートしたばかりだが、必死に地域を元気にしようとがんばっている。その姿をヒマナッツで表したのかもしれない。
このポケふたは双葉町産業交流センターの入口前にある。
【取材・文】阿部 壮汰(渡波小学校6年生)
震災遺構
東日本大震災・原子力災害伝承館
東日本大震災・原子力災害伝承館は2020年にオープンした。見学は、福島出身の俳優、故・西田 敏行さんによるナレーション映像から始まり、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故について時系列に知ることができる。中へ進むと、さらに詳しく映像や展示物で学ぶことができ、語り部の講話を聞くこともできる。語り部活動を行っている熊勝好さんは、震災当時、双葉町職員で災害・防災担当だった。「語り部の依頼を受けた時、やってもいいのか迷いました。でも、こんな経験は二度と誰にもしてほしくない、我々でたくさんだと思いました。これだけは忘れられては困ります。被害者の1人として自分の経験を伝えていきます」と熊さんは話していた。
学芸員の瀬戸 真之さんによると、来館者は、小学生から大人まで幅広い年齢層で、企業などの団体、県内外から多くのみなさんが訪れる。コロナ後は海外からの見学者も増えているそうだ。伝承館ができ町の復興にも影響を与えている。双葉町は、原子力発電所事故の後、全町避難となり、2022年にようやく避難指示が解除された。開館準備が始まった頃は、街に灯はなく、夜は真っ暗で、宅配便や新聞も届かなかった。瀬戸さんは、「ゴミ捨て場に自分のもの以外のゴミがあることに気がついたとき、人が増えたと感じました」と話していた。原子力発電所の事故により多大な被害があったが、発電所を誘致した時代のことから事実を客観的に伝えることにより、自ら考える機会にしてほしい、と瀬戸さん。「ここでは、原子力発電所事故と津波被害の両方について学ぶことができます。災害には、忘れられていることや知られていないことがたくさんあります。この場所で正確な情報を得て、このことを自分事として考える機会にしてほしいです」と話していた。
職員の室井 恒大さんは、震災当時、新聞記者だった。地震発生時も取材先へ向かっていた。被災地取材を続けてきたが、今は、伝承館で災害の伝承活動に携わっている。「原子力発電所事故の問題は今も続いています。ここに来なければ分からないことがたくさんあるので、ぜひ1度来てほしいです」と話していた。
震災14年目を迎える今年、忘れないために、新しく学ぶために、ぜひ福島へ足を運はこんでみてほしい。
【取材・文】阿部 匠之介(東北学院高校2年生)





