石ノ森章太郎原作の未完の大作「サイボーグ009」をリメイクした3D映画「RE:CYBORG 009」が10月27日全国公開された。原作者の石ノ森章太郎は石巻とかかわりが深く、同氏記念マンガミュージアム「石ノ森萬画館」が石巻にあることから、一般公開より2周間も早い10月13日、映画を手掛けた神山健治監督が石巻市民に映画を公開してくれた。試写会で石巻を訪れた神山監督にお話を聞いた。
「サイボーグ009」で、「人類共通の正義とは何か?」と「ヒーローたちが戦う理由」を石ノ森章太郎は描いてきた、と神山さんは言う。今回、それらをテーマとし作品を手掛けた。原作者の石ノ森章太郎について、「僕にとって先輩というレベルではなくて、雲の上の存在。見上げても手が届く気がしないくらい」と話す。神山さんがアニメーション監督になりたいと思ったきっかけは、中学生のときに見た映画「スタウォーズ」だ。最初、「スターウォーズ」を作る人になりたいと思った。しかし、日本ではスターウォーズのような実写を作るのが難しい。でも、アニメーションならスターウォーズみたいな昨日を作れるのではと思って、アニメーションを志した。
アニメーションを作る上で一番大切なことは、「みんなと一緒に仕事をしていくこと」だそうだ。アニメは大勢の人の手で作られている。「RE:CYBORG009」の映画製作にかかわった人は200人もいる。アニメ作りでは上手に絵を描く、早く描くのはプロだから当たり前。大勢の人と強調してやってかなければならない。神山さんは、「不思議なことに、集団でつくる作品でも、一緒に仕事をしていくことで、最終的にその人の個性は消えずに作品に現れる」と言う。
神山さんは生きていく上で、こういうことをしたほうが人のためになるだろう、こういうことをしらかっこ悪いだろうということを、石ノ森先生の漫画からすごく学んだ。「悪いことしちゃいけないとか、人の迷惑になるようなことしちゃだめとか、困っている人を助けようとか、実は、そんなすごくシンプルで当たり前のことを石ノ森先生は描いていたと思う。作品を見てそういったことを感じ取ってくれたらいい。正義とは何かということは難しいと思うけれど、どうしたら人のためになるかということや、石ノ森先生がこめたメッセージを作品の中から読み取ってほしい」と語った。
取材・文:加藤 光(石巻好文館高校2年生)