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50年後のバット 〜女川町で2つの植樹祭~ 「みやぎバットの森」「とうほくとっとり・森の里親プロジェクト」

須田町長と一緒に植樹しました

「みやぎバットの森植樹祭」は平成17年にプロ野球団の東北楽天ゴールデンイーグルスが宮城県に誕生したのをきっかけに、球団の活躍とともに、地域に密着した野球文化とみどりの文化が盛り上がることを願い、県内各地にバットになる木を主とした広葉樹の森をつくる活動として行われてきた。今回は、鳥取県からの復興支援として、東日本大震災の津波で失われた海岸防災林の再生を支援するため、東北三県で採れた広葉樹の種子を鳥取県内の小学校や苗木生産者が育て、育った苗木が里帰りする「とうほくとっとり・森の里親プロジェクト」の植樹活動も同時に開催され、鳥取県から「美鳥の大使」として子どもたちが来てくれた。
 今回植樹された広葉樹は、アオダモ、ヤマザクラ、コナラ、ケヤキの4種類で約350本。女川町長の須田善明さんは、「楽天が日本一になった年に、この植樹祭が女川で行われたことは歴史に残ります。今日植えた苗がバットになるのは50年後だから、みんながおじさん、おばさんになった頃ですね」と笑って話してくれた。宮城県環境生活部の自然保護課みどり保全班の佐藤国弘さんは、「たくさんの人が植樹祭に参加してくれて、全ての苗を無事に植えられたのでよかったです。約1100㌔㍍も離れている鳥取から大使として子どもたちも来てくれました。喜んで帰ってくれたらうれしいです」と語った。震災後、初めて被災地に来た大呂夏希さん(鳥取県 八頭町立丹比小学校5年生)は「苗木を育て、改めて被災地を応援しようと思いました。ひっくりかえった女川の建物を、鳥取の友だちはテレビでしか見ることができないので、分かるように伝えたいと思います」。前田美柚さん(鳥取県 琴浦町立八橋小学校6年生)は、「早く大きくなってほしいと思って育てました。今まで募金しかできなかったので、少しだけですが女川に貢献できてうれしいです。今日のことをみんなに伝わるように具体的に作文に書きたいです」と真剣な顔で話した。
 この日植えた苗がバットになるのは50年後。そのころ女川はどうなっているのだろうか。50年後が楽しみだ。

取材・文・写真:木村 ひな子(門脇中学校2年生)

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