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JAPAN DAY 英国ケンブリッジ市にて 日本文化に親しむ1日

ジェレミー・ベンステッド市長も来てくれました(左が八重樫記者、右が村松記者)

2017年3月18日、嘉悦ケンブリッジ教育文化センター(英国・ケンブリッジ市)で「JAPAN DAY」というイベントが開催された。日本文化に親しみをもつことを目的とし、毎年同センターが主催している。今回、私たちは東日本大震災の経験と学びをケンブリッジのみなさんと共有するために渡英した。
まるでここが英国であることを忘れてしまうような一日だ。嘉悦ケンブリッジ教育文化センターには、この日、ケンブリッジ市内外から600人近くの人々が訪れ、日本文化を体験し、五感で楽しんだ。
「ジャパン・デー」は、今回で14回目。「1回目は、2003年3月、在英日本大使館の奥 克彦参事官(当時)のお声がけで行われました。大変残念なことに、その年の11月、奥氏はイラクで殉職されました(※)。日本のことを知ってほしい、文化を通じて地元の人々と交流しようという奥氏の遺志を継ぐつもりで、2回目の開催を決め、今に至っています」と同センターのアドミニストレーター、ロバーツ・平・浩子さんは話してくれた。
嘉悦ケンブリッジ教育文化センターは、1994年2月、嘉悦学園(東京)とケンブリッジ大学ニューホール(現在はマレイ・エドワーズ・カレッジ)の特別提携によって設立された。教育プロジェクト、国際会議、コンサート、展覧会などが開催され、日英の教育・文化交流の場となっている。
ホールでは、舞台上でさまざまな日本文化デモンストレーションが行われ、146席ある観客席は立ち見がでるほどの賑わいだ。茶道のデモンストレーションでは、和菓子と目の前で点てたお茶が観客にふるまわれ、初めての抹茶に「苦い」という声も。英国で津軽三味線の演奏活動をしている一川 響さんと教え子のみなさんによる「津軽じょんから節」「花笠音頭」の演奏に、観客は手拍子や「やっしょーまかしょー」のかけ声でともに楽しんだ。他にも合気道や居合道、生け花、日本舞踊などが次々に行われた。
会場内ではさまざまな体験の機会も用意されている。書道体験では、「空」などの漢字や自分の名前、日本の言葉を、参加者が一画一画丁寧に書く姿が見られた。水墨画の体験コーナーでは、自分で墨をすり、筆の太さを加減しながら、参加者がきれいな絵を描いていた。子どもたちに一番人気だったのは折り紙体験。国際児童文庫協会ケンブリッジ支部「しらす文庫」のメンバーが読み聞かせをしたり、折り紙を知らない子どもたちに折り方を教えたりしていた。
女性に人気だったのは着付け体験。日本の美しい着物は注目を集め、着物姿の参加者たちは最後に写真撮影。とてもうれしそうだ。着付けを担当した鈴木美奈子さん(45)は「たくさんの方に日本の着物を着ていただき、喜んでいただけてうれしかったです。着物についての質問も多く、日本文化への関心の高さがわかりました。もっとこのすばらしい文化を伝えられるようにしたいと思います」と語ってくれた。
日本文化を体験して、おなかがすいた人が向かう先は、日本食販売コーナー。ちらし寿司やからあげ弁当、緑茶など、日本の食を味わうことができる。3才の息子とともに来場したオリバー・ドーソンさん(26)は「生まれて初めて『はし』を使いました。日本食がおいしかったので、本を買って家でも作ってみたいと思います」と話してくれた。
当日、会場を訪れたジェレミー・ベンステッド市長は「ケンブリッジは小さな街ですが、国際的で思いやりのある街です。私はそのことを誇りに思っています」と話していた。
※イラク日本人外交官射殺事件…2003年11月29日、イラクに派遣されていた日本人外交官2人が、イラクのティクリート近郊にて日本大使館の車で移動中、何者かに射殺された事件。

謝辞
村松鈴音記者と八重樫蓮記者の渡英に際し、ご寄付とご協力をいただきましたみなさまに心からの感謝を申し上げます。
嘉悦ケンブリッジ日本文化センター
株式会社ARM
種からつなげよう~笑ってて~(種ともこ 代表)
所 俊彦様

【取材・文】村松鈴音(石巻高校1年生)・八重樫蓮(石巻工業高校1年生)

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