漫画の街・石巻には、マンガロードがある。その一画に「ふれあい商店街」という仮設商店街がある。私達が日頃利用しているお店から見た石巻を知りたいと思い、被災した商店街の皆さんに、お店と石巻への想いを聞いた。
商店街の出入口すぐにある「日高見(ひたかみ)の国」は末永海産株式会社の水産加工食品店。店名の由来は、昔の北上川の呼び名「日高見(ひたかみ)の川」から。この店のおすすめ食品は、三陸の海で獲れたカキを使った加工食品。炊き込みご飯やシチューに入れるとおいしいカキの塩ゆで、仙台みそとあわせて作ったカキみそ、食感のよいワカメなどである。責任者の古藤野靖さんは「地元の食材を発信し、売ることが石巻の復興になると思う。みんなが笑顔で元気に住め、働く場所もある石巻になってほしい」と語り、これから働く人に向けては「自分の持ち分でがんばって」と言う。また、お店の小玉修子さんは、石巻の子どもたちに「家や学校がなくなって悲しいけれど、子どもらしく元気に育ってほしい」と語ってくれた。
「あい菜館あさひ」は八百屋さん。野菜の他、果物、調味料、そして小学生が来ることもあり菓子類も扱っていて、定期的に女川に車で移動販売を行っている。仮設の店には冷暖房がない。八百屋は生の食品を扱うので夏と冬の空調が特に大変だ。お店の及川陽子さんは「石巻は震災前から静かでした。今は、震災の影響でさらに人が少なくなっています。もう一度ここが明るく、人の集まるところになってほしい。(こどもたちは)震災で大変な思いをしたと思いますが、後世の人たちに震災のことを伝えて言ってほしい」とメッセージをくれた。
商店街の会長梅雅弘さんの「ウメシンスポーツ」。スポーツ用品や、学校の体育用品などを扱っている。梅さんは、「旧店舗を解体して新しく立て直したい」と言っていた。石巻の子供たちには、「昨年はほとんど大会ができなかったが、今年の4月から徐々に開けるようになった。しかし、まだ半分くらいだと思う。これから大人たちが震災前と同じように大会を開けるようにするので、がんばって試合をしてほしい」と言った。
店と言っても一つ一つ違う。しかし見方や意見、考えが違っていても、皆がよい方向へ向かうようにと想うのは同じだ。私達はこれから、復興のために団結し、以前よりもいっそう助け合い、少しでも前に進まなければならない。そして、援助に頼らず自立して賑わっていったときに石巻は復興したと言えると思う。
五月の商店街には、他県からの学生のメッセージと地元の学生の返事が書かれた、被災地と全国を繋ぐこいのぼりが舞っていた。
加藤 光(好文館高校2年生)