私の通う中学校の美術部に、「幕」を作って欲しいという依頼が来た。依頼主は、なんとあの大手住宅メーカーD社である。災害公営住宅の工事現場囲いが白一面で、殺風景だからという理由だ。美術部に所属する私も制作に参加した。
9月から制作をはじめて、12月に完成。町の風景に合う明るいデザインを考案しながら、温かさを出すため暖色系の色を中心に使った。12月22日には引き渡し式が行なわれた。
美術部顧問の伊藤まゆみさんは、「東日本大震災により、多くの方々が住む場所を失ってしまいました。仮設住宅で暮らしている人も大勢います。新しく美しい町づくりに参加することで、みんなに夢を持ってもらえると思い、制作を引き受けました。また、美術部は、いつも個人で制作をしているため、何かみんなで協力してつくるのもいいことだと思いました」と話してくれた。
美術部での共同制作は、年に一度、運動会での幕作りくらいしかしない。だから、この体験をとても貴重なことだったと感じている。この制作を通じて、仲間とひとつのものを作り上げる素晴らしさとみんなで協力し合うことの大切さに気づいた。