「う~ん。どうやって日本まで行こうか」
サトルが悩んでいると、サルキが得意げに言った。
「そんなの簡単じゃないか。船に乗ればいいんだよ。人間に見つからないように、こっそりと」
「でも、ぼくたちは字が読めないから、日本へ行く船がどれだかわからないよ」
「つべこべ言わない!きっといつかつくだろう。世界一周はさけたいがね」
サルキは楽しみだった。命の恩人に早く会いたかった。
「う、うん・・・」
サトルは心配だった。本当に金華山にたどり着けるかどうか、不安になってきた。
「とにかく港へ向かおう!」
そう言ってサルキはかけ出した。サトルはその後を追った。
サトルとサルキが港に着いた時、ちょうど1せきの船が出航するところだった。
「あの船に飛び乗るぞ!」
サトルとサルキが飛び出した瞬間、船が動き出した!ギリギリのところで乗ることができた。2匹は人目につかないところに移動して、一息ついた。
「ギリギリセーフだ」
サルキは言った。
「日本に着けるのかなぁ?」
海に目を落としてサトルは言った。
「キャー」突然背後から悲鳴が聞こえた。 振り向くと一人の女性が2匹を指差していた。いつの間にか人が集まってきて2匹は囲まれてしまった。2匹の運命は・・・?
【文】小野愛和(青葉中学校1年生)
【絵】山田暖歌(青葉中学校1年生)