「その名は…ダッチャル3世。ボスザルボードによると彼は白米を1粒ずつ食べる選手権優勝、Saru100m走では4秒36で歴代最速記録を更新、『サルとは~ボスザルになったぼくの気持ち~』を出版、初めて外国のサルでボスザルになった、それと……などの数多くの伝説を残したと書いてあるぞ」とサルキが20分くらい伝説の説明をした。
「やっと終わった…。全部言わなくても有名な伝説ばかりだから島で知らないサルはいないよ…」。
「なんか言ったか?」
「いやっ…あのダッチャル3世がサルキの恩人だったとはなぁ」
「そうか。それでダッチャル3世さんはいまどこにいるんだ?」
「ダッチャルさんは秘境を探しに旅に出たよ」とサトルが言うとサルキは泣いていた。
「そんなにショックだったのか…。ぼくにできることがあったらなんでも言ってくれ」とサトルがなぐさめたが、「どこまで男前でかっこいいサルなんだ…秘境を探しに島を出るなんて…感動して涙が止まらないよ…もう一度だけでもいいから会いたかった…」とサルキ。サルキは悲しくて泣いていたわけではなく、感動して泣いていた。
【文】小野 愛和(青葉中学校2年生)
【絵】酒井 圭祐(石巻小学校5年生)