「古畑任三郎」「怪談レストラン」などでおなじみの、西村雅彦さん。その演技で観る人を虜にする。
西村さんが企画した舞台「ブラザーブラザー」が11月14日に仙台市の電力ホールで上演された。
「ブラザーブラザー」をどうして企画したのか、西村さんはこう語る。「この舞台は家族がテーマで、ばらばらになった兄弟たちが『家族として再生していく』という大きな柱があります。その様子をお客様に面白おかしく観ていただきたいという思いからこの作品をつくりました」
今、日本はてんてこ舞いで思うようにことが進まないことがある。特に東北。「やるやる」と言っても上手くやれていないところがある。「再生とはなにか」、形を変えて観客に伝えたいという思いから、この作品をつくりたいと思ったという。
西村さんの舞台は観客と舞台が一体になっている感じがする。西村さんは、2010年に「怪談レストラン」という映画に出演し、「闇のギャルソン」の役を演じていた。そのときも、どうやったら観客に楽しんでもらえるか、ファンが持っている役のイメージから離れないようになど模索して、変な感じでかわいくて魅力的なギャルソンを演じたいと思っていたそうだ。
2011年3月11日の震災の後に西村さんが石巻に来た時の気持ちについて聞いてみた。それは、「無」で、言葉にできない思いで、強い虚無感だった。「今、自分には幸いにも、東京に住む家も仕事もあります。でも、石巻では仕事や家、親類縁者を亡くされた方がたくさんいます。1が0になったと考えた時に、何とも言えない虚無感を感じました」。その時、自分を見つめ直したそうだ。
西村さんは今年の10月に「いわぬま健幸大使」に任命された。「人生、ウダウダしているとあっという間に年をとっていって、あっという間に時間が過ぎていってしまうから、毎日をのびのび生きよう!!」と明るく笑ってくれた。
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注:西村さんは、宮城県岩沼市の復興状況などをPRする「いわぬま健幸大使」。仮設住宅を慰問したり、震災後に出荷を再開したメロンの収穫に参加したりするなど、岩沼市で継続的な支援を行ってきたことから、第1号に任命された。
取材・文・写真:松林 拓希(蛇田小学校6年生)、酒井 圭佑(門脇小学校1年生)、酒井 理子(門脇小学校6年生)