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失敗からの痛みは癒える|アドバイスにも見える役者魂

住民との交流を楽しむ西村さん

 2015年8月29日、災害公営住宅団地や仮設住宅で住民と交流するために宮城県女川町を訪れた俳優の西村雅彦さん。石巻日日こども新聞にとって2回目となった今回の取材、西村さんから人生についての深いアドバイスをいただいた。

 一昨年公開されたアニメーション映画「風立ちぬ」では、堀越二郎の上司「黒川」を演じた。「イメージとは違う風体に驚きました。自分が思っていた研究者のイメージとは違って愕然としましたが、これもありだと思いました。愛すべき人です。このことで、いかに自分がモノを決めつけて見ているかに気がつきました」。宮崎駿監督に細かく指導してもらえたので、声優としてそこにいられた、と話す。
 来年公開予定の「殿!利息でござる」(2016年5月14日公開予定、中村義洋監督)に出演する。舞台は宮城県大和町の吉岡。時代劇だ。「自分勝手な役です。人間っぽいなと思います。本音をさらけ出すし、やることをちゃんとやる男。でも、社会には不適格です」。本音を言うと面倒になる、とまわりが思っても、そこから未知なる関係性がきっとある。やっかいなことも避けずに向き合うことこそ大事と言う。
 西村さんからぼくたちへ人生のアドバイス。「できていることを繰り返すだけだと、人は腐ります」。経験は大事、いろいろな大人と話ができることはとてもよい経験。ぼくたちは、大人の社会に、もう少しで仲間入りしなければならない。「失敗しても痛みは癒えます。だから、たくさんの経験をしたほうがいいんです。目の前に言葉を投げてみてください。そうすると、そこに向かっていく自分ができます。そして、思い続けること。そこが分かれ目になりますよ。夢を持つより希望をもって。希望はまわりが与えてくれるものではなく自分で持つものです」。西村さんの「役者魂」と情熱あふれるアドバイス。大切にしたい。

【取材・文】松林拓希(蛇田中学校2年生)

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