今から600年以上も昔から、雄勝町(宮城県石巻市)に伝わる「雄勝法印神楽」は、「法印」と呼ばれる山で修行していた人たちが神楽を舞ったことから始まった。昔の人たちは、神様を喜ばせると豊作・豊漁になると考えた。そして、神様を喜ばせるために行った唄や舞を「神楽」と呼んだ。雄勝法印神楽は、大浜の千葉家、雄勝浜の小田家、大須浜の阿部家、それぞれの一人の子どもだけに教え伝えられた。
雄勝法印神楽の音調は、太鼓が2個、横笛1本。3つの楽器と人の声で静かな場面と激しい場面を表現する。2人で打つ太鼓は、昔のまま正確に続けられている。
神楽の内容は、もともとは神様と仏様を一緒にした物語が伝えられたが、明治元年に禁止されたことから、仏様の内容を除き、古事記・日本書紀の内容を取り入れて演目を再編した。演目は28種あり、そのうち3つは、現在は行われていない。「初矢」は、神楽の基本とされており、
この演目を完全に覚えないと、他の神楽を学ぶことができない。葉山神社69代目宮司の千葉秀司さんは「自分の代まで長い歴史が繋がれてきたので、次の世代に続くように励んでいます。人口の少ない小さな町にも長い間途絶えることのなかった伝統があることを観て、たくさんのことを感じてもらいたいです」と話していた。
【取材・文・写真】阿部洋都(雄勝小学校6年生)