おさらい◇ 牡鹿十座とは ◇
牡鹿十座は延喜式内社にあたり、平安時代に編纂された法制書『延喜式』に記載された神社のことである。後編では残りの6つの神社を紹介する。
■香取伊豆乃御児神社
折浜にあり集落(今は津波で一部無くなっている)を見下ろす形で急な階段を登った所に神社は立っている。神社はがっちりとした造りをしていて、傍に小さな祠がいくつかある。神社からすぐの場所に浜があるため山々に囲まれた海を一望できる。震災当時多くの瓦礫がたまっていた砂浜は、たくさんのボランティアの方々のおかけできれいになっている。
■零羊崎神社
牧山の頂上にある。本殿・幣殿・拝殿はどれもしっかりとした造りになっており、装飾も細かい。神主の櫻谷鎭雄さんの話では、「牧山は昔、龍巻山という名前で、『龍』の字が取れて『牧山』になった。ご利益は海上安泰や五穀豊穣など」とのこと。山頂にあるので秋は参拝ついでに紅葉を見るのもいいかもしれない。
■飯石大嶋神社
旧北上川河口付近にある神社で、地元に住む人からは『住吉神社』と呼ばれている。公園と一体になっており、近所の子どもたちの遊び場となっている。境内の右手側には小さな神社や祠があり、神社の裏手の階段を上ると愛宕神社がある。また神社のすぐ脇には離れ小島があり、そばに石巻の由来となった「巻石」があるのだが、震災後、何とか残ったものの地盤沈下のためか満潮時には、かろうじて見える程度の事態になっている。巻石も含め、後世に残していきたいものである。
■鳥屋神社
羽黒山の頂上に位置する神社で祭られているのは猿田彦大神。神社のすぐ傍には公園と石巻市図書館がある。比較的町中にあるので、神社を訪れる人は多い。また、春は神社の周りにある桜が咲き誇り、近年の川開き祭りでは花火がよく見える地元の人にはちょっとした穴場になっている。
■拝幣志神社
こちらも旧北上川河口付近にあり、飯石大嶋神社とは反対岸にある神社。震災前は赤い社殿の神社だったが、震災により津波の直撃を受け神社そのものは残っているものの、塗装は剥がれ社殿は大きく形を変えている。一刻も早く神社に元の姿を取り戻してほしい。
■鹿島御児神社
日和山の山頂にある神社で、旧石巻市内では桜の観光名所でもあり、年中参拝客が多く訪れる。祭られているのは武甕槌命、鹿島天足別命の親子二神。社殿の他にも境内には八幡神社をはじめとした多くの神社がある。他にも山を登る階段の鳥居の周りは展望スペースになっており、石巻の海を一望できるのも魅力的だ。
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これで牡鹿十座の紹介は終わりになる。この牡鹿十座の神社について、あることがわかった。全てではないが、その多くは山の上などの高い場所にあるということだ。石巻の神社の神様たちは多くの人を見守れるよう、高いところにいるのかもしれない。もちろん牡鹿十座の他にも、石巻にはたくさんの神社があるので、石巻の人、石巻に来た人達にも探してもらいたい。
取材・文・絵:加藤 光(石巻好文館高校3年生)