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牡鹿十座より知る ―前編―

伊去波夜和氣命神社(旧)

 石巻には震災後もまだたくさんの歴史のある建物が存在している。驚くことに牡鹿十座のような千年以上の歴史を数えるものもある。牡鹿十座とは延喜式内社という平安時代に編纂された法制書『延喜式』に記載された10の神社のことである。今回はそのうちの5つの神社を紹介する。
■旭山計仙麻神社
 神社は旭山の山頂に位置する。山頂にあるため見晴らしがよく石巻の町と海が一望できる。神社は拝殿と本殿が柵に囲まれたつくりになっていて、神社へつながる山道には多くの自然植物が見られる。参拝ついでの植物散策もおすすめ。
■曽波神社
 田んぼに囲まれた曽波神山の中腹に位置する小さな神社。境内は山の木々に囲まれ、静けさが漂う。山の中にあるため、ひんやりとした涼しい空気に満ちている。階段途中、小さな祠や曽波神社より上に別の神社がある。
■九集比奈神社
 上品山の山道を車で上ること数十分。山頂付近に石で出来た鳥居が見える。神社は鳥居をくぐり見晴らしのいい草原を上り詰めたところにある。少し変わったつくりをしており、賽銭箱の置かれた休憩所のような建物から覗くような形で祠がある。賽銭場をはさんで祠を見る位置に立つと、祠側から不思議なことに風が吹いてくる。祭られているのは彦火火出見命 (合祀)木花開耶姫命。かつては僧達の修行の場として使われていた。
■伊去波夜和氣命神社(新旧)
 旧社は石巻水沼にあり、本殿は鳥居をくぐり階段を上って山道を上った所にある。境内は山の木々をぽっかり明けたところに立っており、ここだけ太陽に照らし出されている。赤い屋根が特徴的な神社だ。一方の新社は渡波の大宮町にある。二年前の震災では津波が直撃したものの、本殿は無事に残った。神主さんの話によると旧社は平安前、新社は数百年前にできたという。震災後、神社の周りから住人が減りつつあるが、地域の人にいっそう大切にされているそうだ。

取材・文・絵:加藤 光(石巻好文館高校3年生)

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