2014年5月25日、「第19回お寺でクラシック(石巻市渡波 法音寺、主催:石巻復興支援会)」のために、ピアニストの江口玲さんが石巻に来てくれた。
江口玲さんは東京の郊外で生まれ、関西で育った。アメリカのニューヨークに26年住んでいる。「アメリカの気楽なところ、みんな明るいところが好きです」。これまで演奏で訪ねた国は25カ国以上。ヨーロッパ、カナダ、アメリカ、中米、アジアの国々だ。「アラブ、アフリカにはまだ行ったことがないですね」。
石巻の法音寺に初めて来たのは2007年。バイオリニストの前橋汀子さんと一緒に来た。震災後も、石巻に来て音楽で私たちをはげましてくれた。今回は4度目の石巻。石巻の好きなところは、魚がおいしいこと。人が温かいこと。
音楽を聴くのが好きで、音楽の何かをしたいと思い、そこにあったのが小さなオルガンの鍵盤だった。「3歳ぐらいのときです。最初は、エレクトーンがいいと思ったのですが、先生に、『ピアノにしなさい』と言われました」。
ピアノを弾き始めたのは小学校に入る前だった。好きなことなら集中できるけれど、そうでなければあっちこっちに行ってしまう子どもだったのだそうだ。ピアノの練習はあまりしないほうだった。「5分ぐらいかな?」と笑って答えてくれた。
目標にしているピアニストは、ロシアのリヒテルのまじめな演奏、自由な演奏のホロヴィッツ、そして、アルゲリッチ。小さいころから弾いてみたいと思う曲はすべて弾けるようになったそうだ。これから弾いてみたいのは、「ショパンが作曲した曲を、有名でないものも全部弾いてみたいと思います」。
一番好きな曲は何ですか?と聞いてみると、「たくさんあって選べません。自分が今弾いている曲が一番好きになります」。一番簡単な曲は何ですか?と聞いてみたら、「簡単な曲は1つもありません!例えば、童謡のメロディーのような曲でも、上手に弾こうと思うと難しいですよ」。自分だけの音を出したいと思いながら音を作っていくそうだ。「ピアノの音はね、小さな部品でできているんですよ」と教えてくれた。
ピアニストを目指している子どもたちにメッセージをお願いしてみた。「絶対に『できない』と思わないでください。できる人がいるということは、自分にもできるということです。自分で『できない』と思ったら、そこで止まってしまいます」。今、一番したいことは、家族と一緒にのんびりすること。江口さんはニューヨークにいることが多く家族は日本にいる。単身赴任のお父さんだ。