6月4日、北限の緑茶「桃生茶」を生産する「鹿島茶園」で、新茶の茶摘みをすることになった。茶摘みといえば、夏も近づく八十八夜と歌にもあるが、気温の低い東北で育つ桃生茶の場合は「百八夜」。5月の下旬から6月上旬に行われる。茶摘みはタイミングが難しい。伸びすぎると葉が硬くなる。天候も大きく影響する。雨の日に摘んだ茶葉が真っ黒になることがあるそうだ。
去年12月には、茶葉は冬支度で固かった。色も濃い緑色に見えた。6月の茶畑は、冬とは違い淡い緑色が一面に広がっていた。生産者は佐々木浩さん。みんなにおいしく飲んでほしいという思いでお茶を作り続けている。佐々木さんのお茶を販売しているのは矢部園(塩竈市)の矢部亨さん。「新茶はね、一芯三葉で摘んでください」と茶摘みのコツを教えてくれた。一つの芯に葉が3枚出ている様子が「一芯三葉」で、摘むとふわっと香りがする。機械より人の手で優しく摘んだお茶の方がきっとおいしい。最もおいしいのは新芽の部分の一番茶だそう。
茶葉の加工場に連れて行ってくれた。中に入ると香ばしいお茶の匂いが広がっていた。茶葉を蒸したり煎ったりする作業は今は機械でするけれど、手作業だったころはとても大変だっただろう。蒸したての新茶は、袋に詰められたお茶とはまた違って、新鮮なお茶のいい香りがした。
【取材・文】丹野 里奈(山下小学校6年生)