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石巻中に咲きほこる ど根性ひまわり

それぞれの郵便局に咲いたひまわり

石巻には「ど根性ひまわり」というひまわりがある。今年、石巻市内すべての郵便局で花を咲かせた。

ど根性ひまわりのこと
2011年3月11日、東日本大震災により、石巻市南浜町にあった黒澤健一さんの家は、津波で全部押し流されてしまった。多くの人が亡くなり、生き残った人々も疲れて元気がなかった。そこで、黒澤さんは「がんばろう!石巻」と書かれた大きな看板を立てて、みんなを元気づけたいと考えた。そうして、毎日、毎日、片づけをがんばっていたが、季節がかわりだんだん暑くなってきたこともあり、がんばるのがつらくなってきた。
ある日、看板の横にとても小さいひまわりの芽が見えた。一度海水がきた場所には、草木も生えないと黒澤さんは思っていた。しかし、どこからか流れついた種が自分の力で芽をだしたのだ。黒澤さんは、「すごいな。このひまわりは!」と思った。それから、元気いっぱいぐんぐん育つひまわりに勇気と希望をもらった。負けないでがんばろうと思えたのはこのひまわりのおかげだった。だから、「ど根性ひまわり」と名前をつけた。
ど根性ひまわりは、がれきの中で育っていった。こんな状況なのに、すくすくと育つ。黒澤さんはうれしかった。このひまわりのことを、SNSでみんなに知らせたら、全国の人からすごいと言われたこともうれしかった。秋になって種がとれると、みんなに「ちょうだい!」と言われた。そして、2年目からは、「ど根性ひまわり2世」として、みんなで育てることになった。
今年咲いたひまわりは「ど根性ひまわり8世」。毎年、代を数えている。種をまくたびに、2011年の津波のことを思い出す機会にしたいという黒澤さんの願いが込められているのだ。「地震が来たら逃げようね」ということを確認するために。
6月13日、石巻郵便局で「日本郵便ど根性ひまわりいっぱい運動」のセレモニーが開催され、「がんばろう!石巻の会」のみなさんが育てた苗を、郵便局の社員たちがプランターに植えかえた。石巻市内の郵便局でひまわりを育て、咲いた花をお客さんに楽しんでもらったり、種ができたらプレゼントしたりという運動を広げていって、いつか石巻をど根性ひまわりでいっぱいにして、市民の心の復興を支援したいという考えだ。
7月31日に石巻郵便局を訪れると大きな花が咲いていた。石巻郵便局長の佐藤久光さんは、「まずは、元気に育ってよかったです。将来、みなさんが大人になって、ひまわりを植える時に、『昔、震災があった時に、このひまわりはがれきの中からでてきたんだね』と思い起こしてほしいです。ど根性ひまわりの花で地域のみなさんを元気にしていく運動は、これからも続けたいと思っています」と話してくれた。

【取材・文・写真】千葉 ふうな(大街道小学校4年生)、松川 美桜(二俣小学校2年生)

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